アナログレコード

 人付き合いにおいて“第一印象”が重要であるように,あるアーティストの“第一印象”,つまり最初に出会ったCD,もっと言えば最初の一曲,これまた重要である。
 もちろん,長く付き合ってみれば“第一印象”の善し悪しなど吹き飛んでしまうものだが“食わず嫌い”なる言葉があるように,それ以降,箸を付けてもらえなくなるとも限らない。大げさであることは承知で述べるが,アーティストとの最初の出会いはそれこそ,一生の付き合いをも左右しかねない一大事なのである。
 もっともその逆もまた真実で,管理人の場合は,一度“お気に入り”としてインプットされたアーティストについては「どうせまた駄作なんだろうな」と思いつつも「今度こそは!」の繰り返し。数多くの駄作を掴まされている口である。

 さて,マーカス・ミラーである。管理人にとってマーカス・ミラー程,CDリリース毎に印象の異なるアーティストはいない。つまるところ“天才”なのであろう。本当に多くの切り口を持っているもので「よくもまあ」と関心させられてばかりである。
 マイルス・デイビスから入るとジャズディヴィット・サンボーンから入るとフュージョンジャマイカ・ボーイズレゲェ…。ベース小僧なら『THE SUN DON’T LIE』あたりか?
 まだまだ! 人気者のプロデュース業から入る道もある。うーん。何か良い解決策はないだろうか?…暫し考えてみる。

 YES! 『SILVER RAIN』(以下『シルヴァー・レイン』)! このCDにはマーカス・ミラーの魅力がバランス良く収められている。ジャズ,フュージョン,ポップス,ファンク,ボーカルものまであるではないか…。
 恐らく一度二度聴いたぐらいでは,マーカス・ミラーのイメージを掴むことなどできないであろう。本当に様々なジャンルのエッセンスが入り混じっている。『シルヴァー・レイン』の中に全体を貫く一つのテーマを見いだすのは至難の業だろう。そう。ここにあるのはマーカス・ミュージックそのものなのだから…。

 このCDの中に数曲,自分が今まで抱いていたマーカス・ミラーの曲がある。自分にとってはイメージ通り! しかし人によっては別の曲がマーカス・ミラーのイメージそのもの,という場合もあることだろう。そう。そのどちらも正解である。人によってマーカス・ミラーのイメージは異なる。マーカス・ミラーなら至極当然のことだろう。
 それで“ジャズ”の,“フュージョン”の,“ファンク”のマーカス・ミラーと言う固定観念を捨てて見る…。するとどうだろう。ついに一本一本の糸,一曲一曲のイメージが“マーカス・ミュージック”という,大きな“より糸”と化して迫ってくる!
 “カメレオン”マーカスの“七変化”に圧倒されたいなら,迷わず『シルヴァー・レイン』である!

(2005年録音/VICJ-61266)

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