アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

デューク・ジョーダン / フライト・トゥ・ジョーダン4

FLIGHT TO JORDAN-1 デューク・エリントンデューク・ジョーダンデューク・ピアソン。管理人は親しみを込めて,この3人のデュークを“デューク3兄弟”と呼んでいる。
 まっ,いつも友人たちには「何それ〜」と一蹴されておしまいですが…。

 でもね。読者の皆さん。このデューク・エリントンデューク・ジョーダンデューク・ピアソンって“3兄弟”と呼ばれるにふさわしいジャズメンなんですよっ。
 3人揃ってジャズ・ピアニスト。3人揃って名コンポーザー。長男がデューク・エリントン,次男がデューク・ジョーダン,三男がデューク・ピアソンなんです。
 特にジャズ・ピアニストなのに,ピアノの印象以上に管楽器のアンサンブルが印象に残る部分が“デューク3兄弟”の血統なんです。

 そんな“デューク3兄弟”の次男坊=デューク・ジョーダンの“メロディー・メイカー”ぶりが遺憾なく発揮された佳作が『FLIGHT TO JORDAN』(以下『フライト・トゥ・ジョーダン』)である。

 『フライト・トゥ・ジョーダン』におけるデューク・ジョーダンピアノには,朴訥とした翳りのある語り口から発せられるブルージーな歌心と,端正で耽美的で泰然自若としたフレージングにデューク・ジョーダンの控え目な“ジャズメン魂”が込められている。
 
 しかし『フライト・トゥ・ジョーダン』におけるデューク・ジョーダンピアノは“管を鳴らす”ジャズ・ピアノ
 決して美メロというわけではないが,ファンキーで記憶に残るメロディ・ラインをピアノでリードし,ディジー・リーストランペットスタンリー・タレンタインテナーサックスに代弁させている。

 口下手なデューク・ジョーダンが自分で『フライト・トゥ・ジョーダン』を語るよりも,口上なフロントマンに『フライト・トゥ・ジョーダン』に込められた思いの丈を語ってもらう方が何倍も上手くいく。

FLIGHT TO JORDAN-2 管理人の結論。『フライト・トゥ・ジョーダン批評

 “管を鳴らすメロディー・メイカー”デューク・ジョーダンの「叙情性」とディジー・リーススタンリー・タレンタインの「骨太」の組み合わせが産み落とした,枯れたわびさびのジャズ・ピアノが『フライト・トゥ・ジョーダン』。

 日本人好みのマイナー名盤として『フライト・トゥ・ジョーダン』を外せやしないない。

  01. FLIGHT TO JORDAN
  02. STARBRITE
  03. SQUAWKIN'
  04. DEACON JOE
  05. SPLIT QUICK
  06. SI-JOYA
  07. DIAMOND STUD
  08. I SHOULD CARE

(ブルーノート/BLUE NOTE 1959年発売/TOCJ-7038)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,原田和典)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1984年度(第18回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1984年度(第18回)の発表です。

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マンハッタン・ジャズ・クインテット★【金賞】.マンハッタン・ジャズ・クインテット
マンハッタン・ジャズ・クインテット


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スターダスト★【銀賞】.スターダスト
ウイントン・マルサリス


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シーンズ・イン・ザ・シティ★【最優秀CD賞】.シーンズ・イン・ザ・シティ
ブランフォード・マルサリス


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Live At Marty's, New York City★【ボーカル賞】.ニューヨーク・マイ・ハート
メル・トーメ&フレンズ


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MOBO倶楽部★【日本ジャズ賞】.MOBO倶楽部
渡辺香津美


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マイルス・デイヴィス・オールスターズ Vol.1★【編集企画賞】.ジ・アザー・サイド・オブBLP-1500並びに一連のブルーノート1500番台番号順発売


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ソウル・ボサ・ノヴァ★【編集企画賞】.マーキュリーV.S.O.P.アルバム並びにクインシー・ジョーンズをはじめとする一連の発掘シリーズ


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ドリーム★【制作企画賞】.ドリーム
本多俊之


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FANTASIA★【録音賞】.ファンタジア
ケニー・ドリュー


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エアリアル・バンダリーズ★【録音賞】.エアリアル・バンダリーズ
 マイケル・ヘッジス


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 マンハッタン・ジャズ・クインテットデビュー作『MANHATTAN JAZZ QUINTET』が【金賞】受賞。

 『MANHATTAN JAZZ QUINTET』の演奏に不満など毛頭ないのだが,元々マンハッタン・ジャズ・クインテットは「スイングジャーナル」誌とキングレコードの発案によるプロジェクト。
 なのでどうしても【金賞】受賞にうがった見方をしてしまう。癒着とか出来レースとか更なる宣伝&販促とか…。

 トランペットルー・ソロフテナー・サックスジョージ・ヤングベースチャーネット・モフェットドラムスティーヴ・ガッドデヴィッド・マシューズの名アレンジ&ピアノがまとめ上げていく。

 マンハッタン・ジャズ・クインテット。略してMJQモダン・ジャズ・カルテット。略してMJQ
 デヴィッド・マシューズの頭の中にはモダン・ジャズ・カルテットのイメージがよぎったことと思うが,果たして出来上がりは性格の異なるMJQであった。

 モダン・ジャズ・カルテットの活動は長い。マンハッタン・ジャズ・クインテットの活動も長くなった。
 「スイングジャーナル」誌が廃刊となった今,そろそろ大団円を期待したい! デビュー作『MANHATTAN JAZZ QUINTET』のリテイクで!

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国府 弘子 / ライト・アンド・カラー4

LIGHT AND COLOUR-1 国府弘子の弾くピアノは「ジャズか? フュージョンか?」と問われれば「国府弘子国府弘子。唯一無二の“国府ワールド”」と答えたい。
 それ位に正統派ジャズ・ピアニストの系譜から外れている。突然変異の如く登場してはガラパゴス化で独自路線の成長を続けている。

 ジャズメンたちとの交流も深いし,ストレート・ア・ヘッドな硬派なジャズを志向していることも分かる。
 しかし,どんなにシリアスな譜面であっても国府弘子ピアノを弾けば,一発でエンターテイーナーしてしまう。普段ジャズなんて聞かない,ジャズって難しいと思っている人に受け入れられてしまうのだから,たちが悪いったりゃありゃしない。

 「国府弘子ブラジル」がテーマの『LIGHT AND COLOUR』(以下『ライト・アンド・カラー』)の参加メンバーが凄い!
 アコースティックギターオスカー・カストロネヴィスエレクトリックギターポール・ジャクソンJR.シンセサイザードン・グルーシンエレクトリックピアノジルソン・ペランゼッタベースジャミル・ジョーンズエイブ・ラボリエルドラムテオ・リマアレックス・アクーニャサックスフルートピッコロゲイリー・ハービックパーカッションポーリーニョ・ダコスタヴァーカルイヴァン・リンストランペットジェリー・ヘイ etc
 リオデジャネイロ録音&LA録音にしてブラジルを代表するオールスターセッションである。

 仮に国府弘子が普通のジャズ・ピアニストであったなら,この超豪華メンバーの個性を活かして自分の楽曲を彩付けようとすることだろう。
 しかし『ライト・アンド・カラー』における国府弘子は,ブラジルの大物たちをアーバンジャズの「脇役」として参加させている。

LIGHT AND COLOUR-2 バブル末期の残り香として,本場ブラジルジャズメンが集結しているのに,南米特有の土臭いがないし,情熱的な感じもしない。
 『ライト・アンド・カラー』の雰囲気としては,ブラジルではなくアメリカど真ん中を感じさせる都会的でBGM的な「光と色彩に満ちた」“国府ワールド”の王国が広がっている。

 国府弘子の端正かつリラックスした雰囲気のピアノが『ライト・アンド・カラー』の多彩な楽曲を“春色に染め上げていく”。
 とにかく柔らかで暖かな光線が今の季節に心地良い。春のそよ風にも似た爽やかなサウンドが今の季節に心地良い。唯一無二の“国府ワールド”が心地良い。

  01. MOON ISLAND
  02. PEPINO BEACH
  03. PASSARADA
  04. MY ONLY LOVER
  05. SAMBA DO CAMARAO
  06. TIP-TOP FUNK
  07. THE MOMENT WE SHARE
  08. BLUE LULLABY
  09. BOSSA CALANGO
  10. EL HUMAHUAQUENO
  11. GONE...

(ビクター/JVC 1991年発売/VICJ-61)
(ライナーノーツ/中原仁)

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デューク・エリントン / デューク・エリントン&ジョン・コルトレーン4

DUKE ELLINGTON & JOHN COLTRANE-1 『DUKE ELLINGTON & JOHN COLTRANE』(以下『デューク・エリントン & ジョン・コルトレーン』)。
 ジャズ史に残る,いいや,音楽史に残る“ジャズ・ジャイアント”の2人が自分の仲間を引き連れての大共演だというのに,なんでこうなるの!

 デューク・エリントンが目の前のジョン・コルトレーンを見ずに,デューク・エリントンが頭の中で思い浮かべる“理想の”ジョン・コルトレーンを見ながら演奏している。
 ジョン・コルトレーンが目の前のデューク・エリントンを見ずに,ジョン・コルトレーンが頭の中で思い浮かべる“理想の”デューク・エリントンを見ながら演奏している。
 そう。『デューク・エリントン & ジョン・コルトレーン』の真実とは,同録と言うより別録のアルバムなのである。もっと言えば現実ではなく仮想の録音なのである。

 デューク・エリントンジョン・コルトレーンが,同じ空間にして“すれ違った”最大要因は“嫌いは好きの反対”である。デューク・エリントンジョン・コルトレーンも互いを強烈に意識している。緊張感が伝わってくる。
 しかし互いに“腹の探り合い”で終わっている。思ったことを音楽の言葉で会話できていない。相手からのメッセージが聴こえてこないから,否応なしに自分から発信する。相手を意識しすぎるがゆえに本来の自分さえも見失っている。

 ズバリ,デューク・エリントンピアノにもジョン・コルトレーンサックスにもいつもの“らしさがない”。
 極論を語れば,2人の共演はプラスではなくマイナス。互いに互いの良さを殺してしまっている。なんでこうなるの!アゲイン!

 管理人は思う。デューク・エリントンジョン・コルトレーンも,自身の音楽の特徴としてハーモニーにとことんこだわってきたジャズメンである。
 デューク・エリントンは,自分の楽器はピアノではなくオーケストラ,と語るほど,ビッグバンドの構成楽器の音域の違いにプレイヤーの個性まで考慮して「瞬間の響き」にこだわってきた。そんなデューク・エリントンからすると,音の羅列によってある響きを表現させようとするジョン・コルトレーンの試みは粗雑に感じられたことだろう。
 一方のジョン・コルトレーンからしてみると,デューク・エリントンピアノから発せられる和音の響きや残響は自身の響きを展開する格好の素材であり,音列で埋め尽くしたくてうずうずしていたのではなかろうか?

 “ジャズ・ジャイアント”の2人が2人とも,不完全燃焼のまま『デューク・エリントン & ジョン・コルトレーンセッションが終了したのはなぜだろう?
 管理人はそれこそ「互いへのリスペクト」にあると思う。現実の共演者ではなく仮想の共演者への既成のイメージに固執したまま音を重ね続けた結果である。
 ズバリ,相手の本当の気持ちを汲まず,勝手に歩み寄りすぎた“手探りの音合わせ”の結果である。

DUKE ELLINGTON & JOHN COLTRANE-2 管理人の結論。『デューク・エリントン & ジョン・コルトレーン批評

 2人が2人とも“片思い中の”ジャズである『デューク・エリントン & ジョン・コルトレーン』であるが,これがあのデューク・エリントンなのか? これがあのジョン・コルトレーンなのか? を忘れて普通に聴くと,これはこれでいいアルバムである。
 特に【イン・ア・センチメンタル・ムード】なんかは,数ある【イン・ア・センチメンタル・ムード】の中でも上位に喰い込む名演だと思う。

 『デューク・エリントン & ジョン・コルトレーン』の音の特徴を語るならば,デューク・エリントンの音というより,ジョン・コルトレーンというより,インパルスの音と表現するのが一番当たっているように思う。
 インパルスのコレクターであれば『デューク・エリントン & ジョン・コルトレーン』の音に納得していただけると思う。

  01. IN A SENTIMENTAL MOOD
  02. TAKE THE COLTRANE
  03. BIG NICK
  04. STEVIE
  05. MY LITTLE BROWN BOOK
  06. ANGELICA
  07. THE FEELING OF JAZZ

(インパルス/IMPULSE! 1962年発売/UCCU-6044)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/原田和典)

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櫻井 哲夫 JACOトリビュート・バンド / イッツ・ア・ジャコ・タイム!5

IT'S A JACO TIME!-1 『IT’S A JACO TIME!』(以下『イッツ・ア・ジャコ・タイム!』)を聴いていて,これはジャコ・パストリアスではなく櫻井哲夫の「JACOトリビュート・バンド」の演奏だと何度も確認しなければならなかった。

 そうして自分を言い聞かせないと,本当にジャコ・パストリアスの音源だと思ってしまいそうだったから…。それもジャコ・パストリアスバンドではなくビッグ・バンドでの演奏のようにそうにも聴こえてしまう。いや〜,参った。櫻井さんには参った。
 管理人の2013年最大の衝撃アルバムNO.1が『イッツ・ア・ジャコ・タイム!』だった。何度聴いても櫻井哲夫ベースジャコ・パストリアスベースのように聴こえてしまう。「完コピを超えた完コピ」が「本家を超えてしまった」ように思う。

 正直,櫻井哲夫ジャコ・パストリアスへの傾倒ぶりがこれほどまでだったとは…。
 櫻井哲夫は『イッツ・ア・ジャコ・タイム!』を通して「ジャコ・パストリアスが世界一」を啓蒙しようとしたのではないだろうか? ジャコ・パストリアスの“美味しい部分”を選び抜いてバンド・サウンドにバッチリと仕立て上げてくれている。

 ジャコ・パストリアスジャコパスジャコと「ベース界の革命児」の名前だけは知れ渡っている。しかし,ジャコパスベースの,一体何が「革命」なのかは知られてはいない。

IT'S A JACO TIME!-2 管理の答えは,フレットレスベースなのに,あそこまで芯のあるサウンドで聴かせるところ。聴き方によってはウッドベースのように聴こえるところ。ベースなのにリード楽器役まで担いメロディーまでも高速で奏でてしまうところ。とにかくベースなのに音楽の主導権を握ってしまうところなのだ…。

 ズバリ『イッツ・ア・ジャコ・タイム!』の真髄とは,櫻井哲夫・監修によるジャコ・パストリアスの“躍動するフレットレスベース”であろう。
 「JACOトリビュート・バンド」の施したジャコ・パストリアス曲へのリ・アレンジを細かく聴いていくと,オリジナル通りの展開と,そうではなくメチャメチャ変えている部分との「法則」に気付く。
 概ね変えなかったのはフレットレスベースメロディー・ラインとハーモニー部分。概ね変えたのはフレットレスベースのリズム・ラインとテーマ部分。

 ジャコ・パストリアス“印”の絶対に触れてはならない根幹部分は忠実に再現し,そうではない部分はオリジナルのイメージに合わせてシンプルにしたり,大胆にひねってきたり…。
 テンポやリズムも全体的にアゲアゲ方向シフト。“超絶技巧”な櫻井哲夫だからできた実現できた芸当であろう。

IT'S A JACO TIME!-3 「JACOトリビュート・バンド」のフロントマンは,本多俊之サックスでも,新澤健一郎キーボードでも,菰口雄矢ギターでもなく,櫻井哲夫フレットレスベース
 『イッツ・ア・ジャコ・タイム!』に,櫻井哲夫ベースソロが多いという意味ではない。ベースのフレーズが音楽の主導権を握っている。

 だからこその「JACOトリビュート・バンド」。櫻井哲夫ジャコ・パストリアスの「ミュージシャン・シップ」が宿っている。

PS 「IT'S A JACO TIME!-3」は「HMVオンライン限定」販促用のポストカードです。

  01. INVITATION
  02. LIBERTY CITY
  03. THREE VIEWS OF A SECRET
  04. (USED TO BE A) CHA CHA
  05. PALLADIUM
  06. LAS OLAS
  07. PORTRAIT OF TRACY
  08. CONTINUUM
  09. RIVER PEOPLE
  10. HAVONA

(キングレコード/KING RECORD 2013年発売/KICJ-658)
(ライナーノーツ/松下佳男)

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ジャヴァン / ノヴェーナ4

NOVENA-1 ジャヴァンがどうしてもアルバムにして表現したかった音楽。ジャヴァンがブラジル人にどうしても聴いてもらいたい音楽。それが『NOVENA』(以下『ノヴェーナ』)である。

 「世界で売れてもブラジルで売れなければ意味がない」とでも考えるようになったのだろうか? 『ノヴェーナ』の聴き所は,完全なる土着の小気味良いリズム=フレヴォ,ショッチ,バイオンであり,カラフルなメロディー・ラインのブラジリアン・ポップ。

 『ノヴェーナ』での試みは面白いとは思うが日本人にはちょっとマニアックすぎるかな? そう感じてしまうくらいにメロディーが自然発生的で即興的なフィーリングを醸し出している。
 ブラジルのミュージシャンは本当に演奏が上手であって,ナチュラルな色付はそう簡単には真似できないレベル。その分,くっきりとブラジル色が鮮明で,ブラジル人の基本陽気で,時々繊細で,哀愁のサウダージが浮き出ている。
 『ノヴェーナ』を聴くといつでも「音楽王国=ブラジル」を感じてしまうのだ。

 『ノヴェーナ』でのジャヴァンヴォーカルがしなやかで柔らかに響く。ブラジルっぽくもあるにはあるが,バックで流れるブラジル色に染まるのではなく,どちらかと言えばジャズっぽい雰囲気。
 つまりは楽曲の中でのヴォーカルの自由度がいつもより高く,スキャットっぽい歌い方に耳がゆく。何と表現しようか迷ったが,ここでは「リッチな歌声」だと記しておこう。

 『ノヴェーナ』を聴いていると(一度も訪れたことのないはずなのに)明確にブラジルの田舎の風景が見えてくる。そこでは子供たちと年配者たちが暮らしている。どうやら大人たちは街にはいないようだ。

 古くからのブラジル音楽をおじいさんが近所の子供たちに教えている。子供って気に入ると飽きるまで繰り返すし,音楽よりサッカーに夢中の子供が半分混じっている。音楽でもサッカーでもブラジルはリズム。そんなリズムに乗りこなせる子供たちがジャヴァンのようなワールド・クラスのミュージシャンへと成長する。

 そうなんだ。これまでジャヴァンがアメリカンMPBを演奏してきたのは,いつか『ノヴェーナ』のようなブラジル向けのアルバムを作るため。
 まずは売れる。それが自分の理想の音楽でなかったとしても売れてしまえばファンもレコード会社もジャヴァンが本当にやりたい音楽を認めてくれるのだ。

NOVENA-2 そういう意味で『ノヴェーナ』もいい音楽に違はないが,ジャヴァン・ファンが聴きたいMPBからするとマニアックに行き過ぎたところがあるのかもしれない。
 よく日本人とブラジル人は感性が似ていると言われるけれど,今回の『ノヴェーナ』に関しては,ブラジルの未開の奥地に連れていかれた感覚があって,ついていけなかった。

 ただし,この『ノヴェーナ』こそが,長年ジャヴァンが温めてきた音楽なのである。真にジャヴァンがやりたかった音楽なのである。もはやジャヴァンは昔のフィールドには戻ってこないように思う。

  01. LIMAO
  02. NAO RUAS
  03. ALIAS
  04. SEM SABER
  05. MAR A VISTA
  06. QUERO-QUERO
  07. RENUNCIACAO
  08. LOBISOMEM
  09. SETE COQUEIROS
  10. AGUA DE LUA
  11. AVO

(エピック・ソニー/EPIC/SONY 1994年発売/ESCA-6206)
(ライナーノーツ/緒形典子)

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