アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

矢野 沙織 / YANO SAORI / HOW TO MAKE A PEARL4

 『YANO SAORI』の4曲目は【HOW TO MAKE A PEARL】(以下【ハウ・トゥー・メイク・ア・パール】)。


 【ハウ・トゥー・メイク・ア・パール】には,矢野沙織“らしさ”がギッシリと詰まっている。
 この“らしさ”を言葉で伝えるのは難しいが“バリバリと吹き倒す”でも“クセのあるフレーズ”でもなく“静と動のキレ”?
 つまりは“空間描写”で勝負するタイプ。う〜ん。これもしっくりこないのだが,今のところはそんな感じで…。
 そうだ! 矢野沙織の魅力は“ギャップ”! 音の高低や強弱のセンスとか,トラック中での起承転結,これにはテンションの上がり下がりだとか,定番コードが進行中に,突然“ファンタスティック”なメロディが降ってくるところだとか…。

 【ハウ・トゥー・メイク・ア・パール】でも,全体としては“伸びやかに歌う”矢野沙織がいる。しかし,しっかりと緊張感はキープ。これが計算ではなく自然体で表現できるところが,矢野沙織の“強み”である。
 “頭ではなく身体で”ジャズそのものを感じ取っている。“深みのある”アルト・サックスの音色と共に,オブラートなしで,ストレートに表現されているのだから,たまらない。

 そんな中,1分30秒からの“こぶし”回し。2分8秒での“ブツ切り”。4分0秒から3秒間の“ビブラート”。これらが全てナイスなアイディア! 矢野沙織の“大器の片鱗”の表われである。

SAORI YANO : Alto Saxophone
MASAAKI IMAIZUMI : Piano
SHIN KAMIMURA : Bass
MASAHIKO OSAKA : Drums
 

矢野 沙織 / YANO SAORI / WHEN YOU'RE SMILING4

 『YANO SAORI』の3曲目は【WHEN YOU’RE SMILING】(以下【ホエン・ユー・アー・スマイリング】)。


 【ホエン・ユー・アー・スマイリング】の魅力は,ジャズが放つ「軽やかさ」にある!
 矢野沙織の“伸びやかな”アルト・サックス今泉正明の“リズミカルな”ピアノが,何気にウキウキ気分にさせてくれる。「爽快だ〜」とは趣が違う,くすっとした含み笑いのような,思い出し笑いするような…。伝わるでしょうか?

 恐らく実際のジャズ・ファンの多くは“真剣勝負の醍醐味に惹かれて”と言うよりは,この種の“軽やかさ”に惹かれてジャズを愛しているのではないか,と思っている。
 年季の入ったジャズ・ファンの好みが“ハードな演奏”から“ソフトな演奏”へと徐々に移り変わっていくのが,その証拠であろう。

 【ホエン・ユー・アー・スマイリング】の聴き所であるが,矢野沙織のゆったりとしたプレイには,勘違いだろうか? ベテランが醸し出す“懐の深さ”さえ感じ取れる。素晴らしい!
 個人的には1分1秒から3秒までの“一息の伸び”が好きだ。今泉正明アドリブも4分0秒からのクダリがお気に入り。

 格別な名曲でも名演でもないかもしれないが,ほのぼの気分にさせてくれるので,また明日も聴きたいと思わせる,その何とかが,超魅力的!
 あなたはいつ「ハ・ニ・カ・ミ」ましたか? 【ホエン・ユー・アー・スマイリング】?

SAORI YANO : Alto Saxophone
MASAAKI IMAIZUMI : Piano
SHIN KAMIMURA : Bass
MASAHIKO OSAKA : Drums
 

矢野 沙織 / YANO SAORI / BLUE BOSSA4

 『YANO SAORI』の2曲目は【BLUE BOSSA】(以下【ブルー・ボッサ】)。


 【ブルー・ボッサ】の徐々にヒート・アップしていく展開がクセになる。大方のジャズ・ファンは,スロースタートなのがウソのような終盤の盛り上がりに,確実に心奪われてしまうことだろう。

 矢野沙織のトーンの変化に耳を這わせてみる。1分17秒からのアルト・ソロは抑揚が効いたもので,イントロから続く“無表情な”アルト・サックスへのフラストレーションが解消されてメチャ気持ちいい。

 後半,自然と耳を奪われるであろう,バックの程よい一体感はハロルド・メイバーンの成せる技!
 3分48秒からと4分10秒からの2段ロケット式のアドリブが一気にバンドを“興奮のるつぼ”へと誘う。ベースドラムもこんなにハッピーなピアノを間近で聴かされてはかなわない。勝手に身体がノッテしまったのだろう。

 【ブルー・ボッサ】にはジャズの“小さな?”楽しみが随所に散りばめられている。

SAORI YANO : Alto Saxophone
HAROLD MABERN : Piano
NAT REEVES : Bass
JOE FARSWORTH : Drums
 

矢野 沙織 / YANO SAORI / CONFIRMATION5

 『YANO SAORI』の1曲目は【CONFIRMATION】(以下【コンファメーション】)。


 “矢野沙織”の【コンファメーション】には,ここで管理人が絶賛するまでもなく,やがて全てのジャズ・ファンから賛辞が贈られることになるであろう。
 既に管理人の周りのジャズ・ファン,いや,普段ジャズに接することのなかった友人までもが熱を上げている。

 もう何分何秒がどうのこうのは関係ない。言葉が多ければかえって魅力が伝わらず,もしかしたら偽りっぽく感じてしまうだろう。このトラックの魅力を,永遠に語りたくなる衝動を抑えて…。

SAORI YANO : Alto Saxophone
HAROLD MABERN : Piano
NAT REEVES : Bass
JOE FARSWORTH : Drums
 

矢野 沙織 / YANO SAORI5

YANO SAORI-1 多くの人にとって,ジャズと言えば“ビ・バップ”であり“ハード・バップ”であろう。
 パーカーマイルスモンクロリンズコルトレーン…。彼らジャズ・ジャイアントの代表作を挙げるとすれば,必然的に“ビ・バップ&ハード・バップ”の名盤が並ぶ。正にジャズの黄金期である。

 残念ながら管理人はその時代のジャズを知らない。生まれてもいない。全ては後追いなのである。
 ではこの現代において,彼らジャズ・ジャイアントが発した“熱い”ジャズを聴くことはできないのだろうか? NO。ここに紹介する矢野沙織の存在である。

 矢野沙織デビューCDYANO SAORI』。何の予備知識もなく突然このCDと出くわしたとしたら,皆さんならどう感じただろうか? そしてその直後,この演奏が何と16歳の,しかも女子高生の作品だと聞かされたとしたら…。
 管理人にとって今のシチュエーションは正に現実となった。その衝撃たるや,カシオペアの比ではなく,マーカス・ミラーでもバド・パウエルでも,そしてウィントン・マルサリスの比でもない。
 それを寝起き眼でやられたからたまらない! そう。この全てを早朝のFMラジオで聴かされたのである。

 管理人はジャズ・マニアとして25年以上,多くのCDを聴き込んできたが,このような衝撃は初めてだった。
 朝,布団の中でそろそろ起きないと,というモウロウとした意識の中に,チャーリー・パーカーの【CONFIRMATION】=明瞭なビ・バップが飛び込んできた。
 その瞬間,体が自然と反応する。一体誰のCDだろう? 聞き耳を立てるべく飛び起きたが,この時はまだ新作だとは思わない。聞こえてきたのは50年代のジャズの音だったのだ。
 たまらずメモ帳とペンを用意する。後日すぐにチェックするためである。ラジオのナレーションが続く…。「ヤノサオリさんの…」。えっ,日本人? ヤノサオリ? 女性? 女子高生? 16歳? このラジオ,ウソ言ってる。
 冗談ではなく上記が管理人の正直な反応である。ラジオで自分の耳を疑ったのは,あの阪神大震災のニュースを聞いた時以来,人生において2度目である。

YANO SAORI-2 読者の皆さんにはちょっと大袈裟に思えた回顧録かもしれない。では一度『YANO SAORI』を実際に聴いてみてほしい。今読んできた“ほんのさわりの予備知識”なら,まだまだ衝撃は収まらないはず。「百聞は一見にしかず」である。

 『YANO SAORI』を全てのジャズ・ファンに自信を持ってお奨めする! 『YANO SAORI』こそ管理人の“愛聴盤”である。

  01. Confirmation
  02. Blue Bossa
  03. When You're Smiling
  04. How To Make A Pearl
  05. My Little Suede Shoes
  06. Black Orpheus
  07. Bohemia After Dark
  08. Mamaduke
  09. Hoyden
  10. In A Sentimental Mood
  11. It Could Happened To You

(サヴォイ/SAVOY 2003年発売/COCB-53061)
(ライナーノーツ/瀬川昌久)

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20050518-2 チック・コリア・エレクトリック・バンド LIVE NO.2

 『チック・コリア・エレクトリック・バンド』2nd! 2日目の今夜は総評です。

 今回,これ程チック・コリアにハマッタ一因に座席の良さがありました。「BN」に行ったことがある人ならピンとくるでしょうが…。やった! 最前・ど真ん中のブロック。21時30分開演予定なのに20時から並んでGETしました!

 「FUKUOKA BN」に行ったのは今回が三回目ですが(改装前の「BN Tokyo」にも一回行きましたよ。エッヘン)2ndは初体験。2ndがいいね。なぜって? ほら1stの音が漏れて聞こえてくるじゃないですか。それが期待を高めるんだよね。
 ただ2nd特有の問題も。そう。終電切れ。深夜バスで帰宅したんです。でもこれには裏事情があって次回はたぶん問題なし。覚えてろよ。○野くん。

 おっとっと,話を戻そう。ほんの目の前にチック・コリアが,フランク・ギャンバレが,エリック・マリエンサルがいるんです。“星の王子様”になった気分でした。
 彼らの息遣いが聴こえてくる。それだけで大満足でした。だって同じステージを見たとしても最前と最後尾では得られるものに違いが…。あっ,なんか自慢話ですみません。でもでも,この感動を語らずにはいられないんですから…。

 さて,LIVE評です。曲については『TO THE STARS』のCD批評に譲るとして,ここでは全体的な総括を…。

 「BN」のキャッチ・コピーはこうだ。「伝説のハイパー・エレクトリック・プロジェクトが奇跡のリユニオン!」「伝説になることを拒み,銀河浪漫の時を越えてやって来る」。正にそうだった!

 やはりジャズはいい。本物は違う。『TO THE STARS』を予習してLIVEに臨んだのだが,恐らく,全く影響なしのジャム・セッション!
 今回の福岡公演がジャパン・ツアーの最終公演地,そう,バンド自体はきっちりと出来上がっていたことと思う。
 しかし彼らの演奏には,その時感じるアドリブの余地が残されている。自由度や遊びがあると言えば良いのだろうか。

 後半の「GOT A MATCH?」がそうだった。チック・コリアデイヴ・ウェックルインタープレイ。あれは完全に二人だけの時間だった。メンバー全員が楽しんでプレイしている。それが見ている私たちにまで伝わってきたのである。
 ちょっと小太りのチック・コリアも,あのフランク・ギャンバレさえもカッコイイ。『TO THE STARS』だけに,君こそ“STAR”だ! いや,おそまつ。

 アンコールは「SPAIN」1曲。盛り上がるための仕掛けがワンサカ。チック・コリアに誘われて,会場一体となってのコール&レスポンスの大合唱!
 超気持ちいい。ミーハーな管理人としては,締めに,生「SPAIN」で大満足! 長めのサビの連発だったから,今でも頭の中で「SPAIN」が鳴っています。チック・コリア,もう最高!!

 さて,この記事はLIVEレポートなので,アンコールのセットリストを報告しておきます。

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