アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / SILVER RAIN FEATURING ERIC CLAPTON3

 『SILVER RAIN』の9曲目は【SILVER RAIN FEATURING ERIC CLAPTON】(以下【シルヴァー・レイン〔フィーチャリング・エリック・クラプトン〕】)。


 【シルヴァー・レイン〔フィーチャリング・エリック・クラプトン〕】はマーカス・ミラーエリック・クラプトンの共作とあって,マーカスベースクラプトンのボーカルが全面に押し出されている。
 曲の出来が“クラプトン寄り”で,正直管理人の好みではない。演奏の質も“ポップス風”であってフュージョンとも呼べない。パワー不足は否めない。

 ただしマーカス・ミラーの“テケテケ”としたチョッパー・ベースに乗せられた,後半のソロ回しには一聴の価値がある。
 特に3分52秒からの,パッチェス・スチュワートトランペットケニー・ギャレットアルト・サックス! 二人の聴いてすぐに“それ”と分かる“独特の音”が唯一のアクセント! かろうじて正気に戻される“ザ・フュージョン・タイム”である。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

ERIC CLAPTON : Lead Vocals
MARCUS MILLER : Bass Guitar, Guitar, Piano, Keyboards, Background Vocals
KENNY GARRETT : Alto Sax Solo
POOGIE BELL : Drums
DEAN BROWN : Guitar
BRUCE FLOWERS : Fender Rhodes
PATCHES STEWART : Trumpet
ROGER BYAM : Tenor Sax
JOEY KIBBLE : Background Vocals
MARK KIBBLE : Background Vocals
JESSICA CELIOUS : Background Vocals


SILVER RAIN
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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / BOOGIE ON REGGAE WOMAN4

 『SILVER RAIN』の7曲目は【BOOGIE ON REGGAE WOMAN】(以下【レゲ・ウーマン】)。


 【レゲ・ウーマン】は,スティーヴィー・ワンダー作=イントロのベース・ラインに“いたく感動した”マーカス・ミラーが「僕のベース・ギターでやりたかった」と語った通り,スティーヴィー・ワンダーの名曲を“ベース・ソング”へと変貌させている。

 イントロだけではない。アウトロでもバッチリ,あのベース・ラインを演っている! いやいや,そんなみみっちい話ではない。ほぼ全編にわたるオーヴァー・ダビングで,ベース・ラインの“上の下も”弾きまくっている。そう。“一人スティーヴィー・ワンダー状態”である。
 リズムはプージー・ベルとのコラボ。メロディはカーク・ウェーラムとのコラボに違いないが,やっぱり何度聴いても“一人スティーヴィー・ワンダー”! 全てがマーカス・ミラーチョッパー・ベースのために“お膳立て”されている。

 こう書くと,ベーシストマーカス・ミラーを連想するかもしれないが,そうではない。【レゲ・ウーマン】は“ベース・ソング”である。そう。プロデューサー兼アレンジャー=マーカス・ミラーの面目躍如である。
 分厚いベースが“サラッと”聴けてしまう。スティーヴィー・ワンダーの“歌心”がマーカス・ミラーベースを通して聴こえてくる。このトータルなバランス感覚にマーカス・ミラーの“凄さ”がある。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MARCUS MILLER : Bass Guitars, Fender Rhodes, Synth Chords
KIRK WHALUM : Tenor Sax Solo
POOGIE BELL : Drums
MOCEAN WORKER : DJ Efx


SILVER RAIN
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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / MOONLIGHT SONATA4

 『SILVER RAIN』の6曲目は【MOONLIGHT SONATA】(以下【ムーンライト・ソナタ】)。


 【ムーンライト・ソナタ】は,説明不要のクラシックの有名曲である。そう。ベートーベン作,通称“月光”である。
 しかしマーカス・ミラー“大アレンジ”の,このトラックに関しては少々説明が必要かも知れない。なぜなら,完全にジャズフュージョンのテイストに“ハマッテいる”からだ。

 いやぁ。マーカス・ミラーのこの“解釈”はどこから湧き出てきたのだろう。ユニゾンについては原曲がそうだし驚きはしないが,あのアルペジオをローズ・ピアノで奏で,あのメイン・テーマをベースで奏でるアイディアには感服しないわけにはいかない。
 楽器の“響き”もいい! ユニゾンを奏でるテナー・サックストランペットも,クラシックの代表楽器としてではなく,ジャズの代表楽器としての“鳴り”で共鳴している。
 4分46秒からのバス・クラリネットエレキ・ギターも加わった「大合唱」では,フュージョン色に染め上げられた“月光”の荘厳な雰囲気を見事に醸し出している。

 3分26秒から始まるマーカス・ミラーベース・ソロも実にエモーション! 特に4分21秒からの“泣きの連打”は,本家ベートーベンも真っ青,いや想像以上の仕上がりだろう。
 ジャズフュージョンの天才・マーカス・ミラーが,クラシックの天才・ベートーベン越えを果たした瞬間である。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MARCUS MILLER : Bass Guitar, Fender Rhodes, Bass Clarinet, Keyboards, Synth Dream Chords
ROGER BYAM : Tenor Sax Solo
LUCKY PETERSON : Guitar
POOGIE BELL : Drums
DEAN BROWN : Guitar
PATCHES STEWART : Trumpet
BERNARD WRIGHT : Additional Keyboards


SILVER RAIN
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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / FRANKENSTEIN3

 『SILVER RAIN』の5曲目は【FRANKENSTEIN】(以下【フランケンシュタイン】)。


 【フランケンシュタイン】は,1972年の全米NO.1ヒット曲。ゆえにロック・テイスト・フレーバーなのであるが“ギンギンのロック”とは異なる“レトロなフュージョン”に仕上がっている。

 ディーン・ブラウンギターモーシャン・ワーカーのDJ・エフェクトが“キメ”の部分で耳に残るので,印象としては“デジタル”であるが,実はかなり“アナログ”寄りの“音造り”をしている。
 ソロもマーカス・ミラー以外には,パチェス・スチュワートトランペットカーク・ウェーラムテナー・サックスのみであり,2人のソロのバックではオルガンも鳴っている。ゆったりと響く“JAZZYでブルージーな”ソロが心地良い。

 しかし,この“アナログ”寄りの“音造り”が成功しているかと言えば,そうでもない。
 暖かさや温もりの前に,どうも“古さ”をイメージしてしまう。やはり【フランケンシュタイン】は,しょせん72年の流行歌。“流行廃れ”の宿命にあった。
 アレンジ勝負に出た,マーカス・ミラーベースは,相変わらず上手いのだが,ちと盛り上がりに欠けている。一方,プージー・ベルドラミングはハイ・テンションで“スゴスギル”。特に5分47秒からのアタックは“やり過ぎ”だろう。
 このリズム隊の意識の“ズレ”が,互いの中間地点であったなら…。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MARCUS MILLER : Bass Guitar, Clavinet, Fender Rhodes, Tambourine
KIRK WHALUM : Tenor Sax Solo
POOGIE BELL : Drums
DEAN BROWN : Guitar
BRUCE FLOWERS : Organ
PATCHES STEWART : Trumpet
ROGER BYAM : Tenor Sax
MOCEAN WORKER : DJ Efx


SILVER RAIN
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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / BEHIND THE SMILE4

 『SILVER RAIN』の4曲目は【BEHIND THE SMILE】(以下【ビハインド・ザ・スマイル】)。


 【ビハインド・ザ・スマイル】は,マーカス・ミラー“お得意”のフレットレス・ベースバラード! このメロディ・ラインにはフレットレス・ベースがよく似合う。そう。マーカス・ミラーが「フレットレスの国」から連れ出してきたのだから…。

 ただし今回のフレットレス・ベースは,グレゴリー・マレットハーモニカ仕様! 人間味のあるハーモニカとのユニゾンでは,敢えて硬質の音色で,グレゴリー・マレットに伸び伸びとソロをとらせている。
 硬質音色のフレットレス・ベースだからこそ完成したであろう,3分14秒からのアドリブがいい。

 “天才”マーカス・ミラーの「フレットレスの国」には(ハーモニカ仕様以外にも)優秀な人材が,出番を「今か今か」と待ち構えている。今後もマーカス・ミラー以外にはチャレンジできない,フレットレス・ベースの新たな可能性を切り開いてほしい。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MARCUS MILLER : Bass Guitar, Fender Rhodes, Moog Synthesizer, Rhythm Box, Percussion
POOGIE BELL : Drums
GREGOIRE MARET : Harmonica
DEAN BROWN : Acoustic Guitar
MUNYUNGO JACKSON : Percussion


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マーカス・ミラー / シルヴァー・レイン / LA VILLETTE4

 『SILVER RAIN』の3曲目は【LA VILLETTE】(以下【ラ・ヴィレット】)。


 【ラ・ヴィレット】は,ロマンティックなラブ・ソング! アコースティック・ギターの音色に誘われる“軽い”タッチの静かな展開であるが,実際は情感ほとばしる“重い”演奏でもある。

 真意は分からない。これは管理人の想像に過ぎないが,短期間でも密度の濃い,激しい恋。一生に一度の恋がテーマなのでは? とにかく“重い”振幅の激しい演奏である。
 全体のトーンを決めたのがケン・ヒックスコーラスである。オペラ歌手であるケン・ヒックスが,本場ヨーロッパのラブ・ソングを手ほどきしてくれる。実にファンタスティック!
 そして主役はレイラ・ハサウェイ! マーカス・ミラー“お抱え”ボーカリストであるレイラこそ“天才”R&B+ジャズ・シンガー! そう。【ラ・ヴィレット】は,2人の完璧なコラボレーションから産み落とされた,R&B+ジャズ+オペラのフュージョン・サウンド。

 もう1人のソロイスト,ベースで歌うマーカス・ミラーも,マイナー調アドリブのオンパレード! 2分15秒からの早弾きにも必然性を感じてしまう,まず“曲ありき”のアドリブである。
 ロマンティックなラブ・ソングは,ついにエレクトリックへ持ち替えたディーン・ブラウンの登場でクライマックスを迎える! 4分27秒からの“泣き”のギターが“おいしい”役所である。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

MARCUS MILLER : Bass Guitar, Beat Box, Piano, Synth Orchestra
LALAH HATHAWAY : Lead Vocals
KENN HICKS : Operatic Tenor
DEAN BROWN : Acoustic and Electric Guitars
POOGIE BELL : Brush Snare Drums
BERNARD WRIGHT : Additional Keyboards
CRAIG J "THE COUNT" : Percussion


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