アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

矢野 沙織 / YANO SAORI / IN A SENTIMENTAL MOOD4

 『YANO SAORI』の10曲目は【IN A SENTIMENTAL MOOD】(以下【イン・ア・センティメンタル・ムード】)。


 矢野沙織が,真正面からジャズの王道に取り組んだ【イン・ア・センティメンタル・ムード】での“貫禄”ある演奏が好きだ。
 これは正攻法に見えて,矢野沙織にとってかなりの大チャレンジであろう。一切小細工無しの演奏は,自ら言い訳の“退路を断った”証し。そう。逃げも隠れもせず,しっかりと吹き込んでいく。「ドンと来い」の貫禄。

 【イン・ア・センティメンタル・ムード】の,バラードサックスは数多いゆえ,ひいき目に見て完璧とは言い難い。
 でもこのビブラート&ブレない演奏姿勢! この一音一音に魂を吹き込んでいく“静かに熱い”名演に感動させられる。

SAORI YANO : Alto Saxophone
MASAAKI IMAIZUMI : Piano
SHIN KAMIMURA : Bass
MASAHIKO OSAKA : Drums
 

矢野 沙織 / YANO SAORI / BOHEMIA AFTER DARK4

 『YANO SAORI』の7曲目は【BOHEMIA AFTER DARK】(以下【ボヘミア・アフター・ダーク】)。


 有名バップ・ナンバー【ボヘミア・アフター・ダーク】に“熱演”を期待してしまうと“肩すかし”を喰らってしまう。勿論,熱演ではあるのだが,このトラックの仕上がり具合は“クール”である。

 松島啓之トランペットとのユニゾン・テーマは,若干スロー・テンポでありフレーズが乾いている。クールに吹ききっている!
 1分29秒から始まる矢野沙織アルト・ソロは,一転ハイスピード! これぞ2003年型【ボヘミア・アフター・ダーク】である。

 ここで管理人の本音を記そう。クールな【ボヘミア・アフター・ダーク】は好きではない。やはり“キャノンボール・アダレイ風”高速大ブロー無しの【ボヘミア・アフター・ダーク】はつまらない。
 幸い,ライブでの演奏はハード・バップ“仕様”で盛り上がっていた。矢野沙織の【ボヘミア・アフター・ダーク】はCDよりライブである。

SAORI YANO : Alto Saxophone
KEIJI MATSUSHIMA : Trumpet
HAROLD MABERN : Piano
NAT REEVES : Bass
JOE FARSWORTH : Drums
 

矢野 沙織 / YANO SAORI / BLACK ORPHEUS4

 『YANO SAORI』の6曲目は【BLACK ORPHEUS】(以下【黒いオルフェ】)。


 【黒いオルフェ】の名演は多いが,このトラックは他の誰とも似ていない,矢野沙織流。この“雰囲気たっぷり”の解釈が16歳の女子高生によるものと世間の誰が思おうか…。

 1分34秒から始まるロング・ソロは,基本=静かで深くそしてダーク。しかし2分17秒からと2分42秒からのブローでヤマ場も作る。さすがである。
 そんな中,管理人の好みは3分20秒からの6秒間! 今泉正明ピアノ・ソロへとつなげる“フェード・アウト”の感じが実にキマッテイル。
 もう自分自身の演奏はおいといて,共演者と共に楽曲の出来を気にかける。実に“頼りになる”最年少・バンド・リーダーがここにいる!

SAORI YANO : Alto Saxophone
MASAAKI IMAIZUMI : Piano
SHIN KAMIMURA : Bass
MASAHIKO OSAKA : Drums
 

矢野 沙織 / YANO SAORI / MY LITTLE SUEDE SHOES4

 『YANO SAORI』の5曲目は【MY LITTLE SUEDE SHOES】(以下【マイ・リトル・スエード・シューズ】)。


 【マイ・リトル・スエード・シューズ】の“ゆったり流れる時間”が実に楽しい。
 矢野沙織松島啓之の“強力ツートップ”のはずが,のびのび&ほんわか調の“アンサンブル・マシーン”へと大変身! イメチェンの衝撃!
 16才の少女が【マイ・リトル・スエード・シューズ】を選曲したセンスが素晴らしい。これが矢野沙織の表現したかったジャズの本質だとしたら,末恐ろしい。

 52秒から始まる矢野沙織アドリブに心奪われてしまう。緩急も強弱もあるわ,リズム隊とのコンビネーションはあるわ,それこそ裏を吹くタイミング! 1分35秒からはカリプソさえも自在に操る,余裕のアルト・サックス

 “早熟の天才”と言う賛辞では表現し足りない! こんなに早く成長してしまっていいものだろうか? 他のジャズメンは一体何をやっているのか?

SAORI YANO : Alto Saxophone
KEIJI MATSUSHIMA : Trumpet
MASAAKI IMAIZUMI : Piano
SHIN KAMIMURA : Bass
MASAHIKO OSAKA : Drums
 

矢野 沙織 / YANO SAORI / HOW TO MAKE A PEARL4

 『YANO SAORI』の4曲目は【HOW TO MAKE A PEARL】(以下【ハウ・トゥー・メイク・ア・パール】)。


 【ハウ・トゥー・メイク・ア・パール】には,矢野沙織“らしさ”がギッシリと詰まっている。
 この“らしさ”を言葉で伝えるのは難しいが“バリバリと吹き倒す”でも“クセのあるフレーズ”でもなく“静と動のキレ”?
 つまりは“空間描写”で勝負するタイプ。う〜ん。これもしっくりこないのだが,今のところはそんな感じで…。
 そうだ! 矢野沙織の魅力は“ギャップ”! 音の高低や強弱のセンスとか,トラック中での起承転結,これにはテンションの上がり下がりだとか,定番コードが進行中に,突然“ファンタスティック”なメロディが降ってくるところだとか…。

 【ハウ・トゥー・メイク・ア・パール】でも,全体としては“伸びやかに歌う”矢野沙織がいる。しかし,しっかりと緊張感はキープ。これが計算ではなく自然体で表現できるところが,矢野沙織の“強み”である。
 “頭ではなく身体で”ジャズそのものを感じ取っている。“深みのある”アルト・サックスの音色と共に,オブラートなしで,ストレートに表現されているのだから,たまらない。

 そんな中,1分30秒からの“こぶし”回し。2分8秒での“ブツ切り”。4分0秒から3秒間の“ビブラート”。これらが全てナイスなアイディア! 矢野沙織の“大器の片鱗”の表われである。

SAORI YANO : Alto Saxophone
MASAAKI IMAIZUMI : Piano
SHIN KAMIMURA : Bass
MASAHIKO OSAKA : Drums
 

矢野 沙織 / YANO SAORI / WHEN YOU'RE SMILING4

 『YANO SAORI』の3曲目は【WHEN YOU’RE SMILING】(以下【ホエン・ユー・アー・スマイリング】)。


 【ホエン・ユー・アー・スマイリング】の魅力は,ジャズが放つ「軽やかさ」にある!
 矢野沙織の“伸びやかな”アルト・サックス今泉正明の“リズミカルな”ピアノが,何気にウキウキ気分にさせてくれる。「爽快だ〜」とは趣が違う,くすっとした含み笑いのような,思い出し笑いするような…。伝わるでしょうか?

 恐らく実際のジャズ・ファンの多くは“真剣勝負の醍醐味に惹かれて”と言うよりは,この種の“軽やかさ”に惹かれてジャズを愛しているのではないか,と思っている。
 年季の入ったジャズ・ファンの好みが“ハードな演奏”から“ソフトな演奏”へと徐々に移り変わっていくのが,その証拠であろう。

 【ホエン・ユー・アー・スマイリング】の聴き所であるが,矢野沙織のゆったりとしたプレイには,勘違いだろうか? ベテランが醸し出す“懐の深さ”さえ感じ取れる。素晴らしい!
 個人的には1分1秒から3秒までの“一息の伸び”が好きだ。今泉正明アドリブも4分0秒からのクダリがお気に入り。

 格別な名曲でも名演でもないかもしれないが,ほのぼの気分にさせてくれるので,また明日も聴きたいと思わせる,その何とかが,超魅力的!
 あなたはいつ「ハ・ニ・カ・ミ」ましたか? 【ホエン・ユー・アー・スマイリング】?

SAORI YANO : Alto Saxophone
MASAAKI IMAIZUMI : Piano
SHIN KAMIMURA : Bass
MASAHIKO OSAKA : Drums
 
livedoor プロフィール

セラビー

記事検索
Categories
Keith Jarrett Gallery

キース・ジャレット(真田馨子) おんがく日めくり(c) keiko sanada
Pat Metheny Gallery

パット・メセニー(野々口和仁)
(c) Kazuhito Nonoguchi
ジャズ・アフィリエイト
セラビー厳選CD

パリ・コンサートパリ・コンサート
キース・ジャレット

THE WAY UPTHE WAY UP
パット・メセニー・グループ

イン・ア・サイレント・ウェイイン・ア・サイレント・ウェイ
マイルス・デイビス

HEAVY WEATHERHEAVY WEATHER
ウェザー・リポート

BRAINCOOL STRUTTIN'
ソニー・クラーク

MINT JAMSMINT JAMS
カシオペア

HUMANHUMAN
T-スクェア

LEFT ALONELEFT ALONE
マル・ウォルドロン

フル・ハウスフル・ハウス
ウェス・モンゴメリー

ザ・シーン・チェンジズザ・シーン・チェンジズ
バド・パウエル

セロニアス・モンク・トリオセロニアス・モンク・トリオ
セロニアス・モンク

枯葉枯葉
チェット・ベイカー

MOANIN'MOANIN'
アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ

BLOWIN' THE BLUES AWAYBLOWIN' THE BLUES AWAY
ホレス・シルヴァー

ウィントン・マルサリスの肖像ウイントン・マルサリスの肖像
ウイントン・マルサリス

メイティング・コールMATING CALL
タッド・ダメロン

Blu-spec CD ジャコ・パストリアスの肖像ジャコ・パストリアスの肖像
ジャコ・パストリアス

ザ・キング・イズ・ゴーンザ・キング・イズ・ゴーン
マーカス・ミラー

FIRST MEETINGファースト・ミーティング
テザード・ムーン

スペシャル・エディションSPECIAL EDITION
ジャック・デジョネット

ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリングYOU MUST BELIEVE IN SPRING
ビル・エヴァンス

ヴァイアティカムVIATICUM
e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)

STEP BY STEPSTEP BY STEP
ステップス

2424
DIMENSION

GANAESIAガネシア
渡辺香津美
カズミ・バンド

コンプリート・ピック・ヒッツ・ライヴPICK HITS
ジョン・スコフィールド

ニューポートの追想V.S.O.P.
ハービー・ハンコック

アス・スリーUS THREE
ホレス・パーラン

Manhattan StoryBLUE'S MOODS
ブルー・ミッチェル

AFRICAN PIANOOFF TO THE RACES
ドナルド・バード

AFRICAN PIANOAFRICAN PIANO
ダラー・ブランド

Manhattan StoryMANHATTAN STORY
アキコ・グレース

SPELLBOUNDSPELLBOUND
ジョー・サンプル

ランデヴーRENDEZ-VOUS
木住野佳子

RETURN TO FOREVERRETURN TO FOREVER
チック・コリア

BRAINBRAIN
上原ひろみ

イン・ラインIN LINE
ビル・フリゼール

ザ・サウンド・オブ・サマー・ランニングザ・サウンド・オブ・サマー・ランニング
マーク・ジョンソン

スインギン・マケドニアスインギン・マケドニア
ダスコ・ゴイコビッチ

タイム・スレッドTME THREAD
小曽根真 & ゲイリー・バートン

フルーツケーキFRUITCAKE
フルーツケーキ

THE DROPPERTHE DROPPER
メデスキ,マーチン&ウッド

Doin' SomethingDOIN' SOMETHING
ソウライヴ

SALT IISALT II
塩谷哲

Dance Your HeartDANCE YOUR HEART
Saya

地球は愛で浮かんでいる地球は愛で浮かんでいる
松永貴志
アンケートボードA

★当ブログについて望むことは?
アルバム単位で批評してほしい
同じ曲をテイク別に批評してほしい
多くのジャズメンを幅広く批評してほしい
一人のジャズメンを掘り下げて批評してほしい
超有名曲をもらさず批評してほしい
発売直後の新作を批評してほしい
初心者を意識したほんわかサイトにしてほしい
マニアを意識したニッチなサイトにしてほしい
オーディオについて批評してほしい



-Mini Vote-
アンケートボードB
How Much Is Your Blog Worth?

My blog is worth
$38,953.26

How much is your
blog worth?

最新コメント
Copyright (C) 2005-2018 アドリブログ All Rights Reserved.