アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

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ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / POP TOP 403

 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の6曲目は【POP TOP 40】(以下【ポップ・トップ40】)。


 【ポップ・トップ40】のメインは,デンゼル・ワシントンのラップであるが,次々とバックから繰り出されるジャズの名フレーズ。
 そう。【ポップ・トップ40】の実態は【ジャズ・トップ40】である。

 3分23秒と3分38秒からは,マンハッタン・トランスファーの【トワイライト・ゾーン】が流れてくるから【ポップ・トップ40】でもいいのかもしれない。
 でも“ジャズ風”に聴こえるのは“ハプニング”連続の構成にある。曲の造り込みが“ポップス”ではなく“ジャズ”している。突然舞い降りるメジャー・フレーズに“ニヤついて”しまう。

 しかし管理人の評価はNGである。聴き込んでいるうちに,例の“ハプニング”連続の構成が“あざとく”聴こえてきた。やっぱりジャズの魅力は“自然発生的な”アドリブでなくっちゃね!

 トラック批評からは外れるが,ここで一言! ブランフォード・マルサリスは広義には,コルトレーンショーター・ラインのテナー奏者である。
 しかし2分57秒からはソニー・ロリンズの【モリタート】! ブランフォード・マルサリスも“ロリンズ・フリーク”全開なのです。

BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet
DENZEL WASHINGTON : Vocal
WESLEY SNIPES : Vocal

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / MO' BETTER BLUES5

 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の5曲目は【MO’ BETTER BLUES】(以下【モ’・ベター・ブルース】)。


 朗々と,ゆったりと上質の時間が流れていく! 【モ’・ベター・ブルース】の楽しみは,ジャズに“酔いしれる”楽しみそのものだ。

 ブランフォード・マルサリスクインテットの5人が,ジャズを“演る”楽しみを「かみしめる」演奏である。
 豪快にアドリブを決めまくる演奏も楽しいが【モ’・ベター・ブルース】のように,丁寧に音を重ね合うハーモニーを楽しむのも「いとをかし」である。

 とりわけ【モ’・ベター・ブルース】から受ける印象は,メンバーの笑顔・笑顔・笑顔! 全員が“ジャズ・ブルース”を実に楽しそうにプレイしている。
 強いられて“嫌々音を合わせたジャズ”程つまらないものはないが,自ら進んで“調和”と“一致”を追い求めるジャズ

 リズムも含めて全てがいいのだが,最後の最後のケニー・カークランドの一音! この一音に【モ’・ベター・ブルース】の全てが凝縮されている。名演である。

BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / AGAIN NEVER5

 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の4曲目は【AGAIN NEVER】(以下【アゲイン・ネバー】)。


 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』のどのような場面で使われているのかは知らないのだが【アゲイン・ネバー】を聴いていると映画の1シーンを思い描いてしまう。

 その場面とはこうだ! ジャズを愛しトランペットを愛する,将来を嘱望された主人公。
 ある日,幼ない子供を助けるために身を挺して不慮のケガ。あろうことか右手が負傷し,もうトランペットは吹けない,と医師から宣告されてしまう。絶望の淵に沈む主人公。
 もう人生は終わりだ,とばかりにバーボンに明け暮れる毎日。しかし財布の中には今でも“マイルス”の写真がしのばせてある…。そう。どうしてもジャズトランペットが好きで忘れられないのだ。
 無意識のうちに人気のない河川敷へと足が向く。夕陽に向かって一音吹く。出た,最高の音が出た! と,歓びもつかの間。右手が以前のようには動いてくれない。またも奈落の底へと突き落とされてしまう。
 しかしもうあきらめない。右手がだめなら左手があるさ。いざ,レフト・ハンドのトランペッターへ!
 根性の猛練習で奇跡のカムバック! 世紀のアドリブ! ジャズ・ジャイアントの誕生である。ねっ,素敵でしょ?

 なぁんてね。誠に自分勝手な“思い込み”というやつで,空想&妄想の頂点! でもこんな映画なら見てみたいでしょ? 誰かこんなジャズ映画作ってくれないかなぁ。
 あっ,『モ’・ベター・ブルース』。そう。『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』! やっぱりスパイク・リーである。
 管理人は,こんな“インスピレーション”を与えてくれる【アゲイン・ネバー】が大好きである。溢れ出る“ジャズ愛”に“ジーン”と感動してしまうのである。

 テレンス・ブランチャードの“哀愁”のトランペットに,ブランフォード・マルサリスの“黄昏”のソプラノ・サックスが実に良く合う。この“渋め”のトーンが全編を支配していく。
 そこへ“割って入る”ケニー・カークランド! このピアノが実にいい。1分51秒からのソロは“弾きすぎず&引きすぎず”。自然なテンションの上がり方に感情移入してしまう。

BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / KNOCKED OUT THE BOX4

 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の3曲目は【KNOCKED OUT THE BOX】(以下【ノックト・アウト・ザ・ボックス】)。


 【ノックト・アウト・ザ・ボックス】は,ブランフォード・マルサリスによる自作曲ではあるが,ブランフォード自身の出番はない。不思議なことに,ただの一度もない。
 まるでブランフォード抜きのブランフォード・マルサリス・カルテット。サビ抜きの“大トロ”がテレンス・ブランチャードなのである。

 そう。【ノックト・アウト・ザ・ボックス】は「ブランフォード・マルサリス・プレゼンツ・テレンス・ブランチャードカルテット」による演奏なのであるる。 ← プロデュースではなくプレゼンツという点がミソ。(ちなみにプロデュースはデルフィーヨ・マルサリス)。

 これはブランフォード・マルサリスが考える,テレンス・ブランチャードの長所を生かしきるためのトラック! ブランフォード・マルサリスが(無論,多くのジャズ・ファンが)聴いてみたいと思うテレンス・ブランチャードがここにいる!

 そう。【ノックト・アウト・ザ・ボックス】は,ブランフォード・マルサリスからジャズ・ファンへの“贈り物”なのである。

 テレンストランペットには,やはり“ポスト・ウイントン・マルサリスはこの男しかいない”と思わせる何かがある。
 特に46秒からラストまでの怒濤のフレージングは,聴き手に息つく暇さえ与えない。惚れ惚れする完成度。素晴らしい!

 加えてジェフ・ワッツドラミングが,これまた素晴らしい。バックからテレンス・ブランチャードトランペットをあおりまくる。他の3人を“置いてけぼり”にする,トランペットドラムの名勝負が楽しめる。

BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / SAY HEY4

 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の2曲目は【SAY HEY】(以下【セイ・ヘイ】)。


 【セイ・ヘイ】からは,冷静に計算されつつも熱い“現代ジャズのテイスト”が,それも“上質の味わい”がする。

 ユニゾンによるテーマが“いい感じ”のジャズなのだが,それ以上にソロ廻しがかっこいい。
 27秒からはテレンス・ブランチャード。リズムに乗った伸びのあるフレーズがビシビシ・キマッテ・カッコイイ。
 1分18秒からはブランフォード・マルサリス。こちらは“流ちょうな”テナー・サックスがリズム隊を追い越し,リードし,自分の世界を造り出す。

 特質すべきは,2人のソロの一貫性。テレンス・ブランチャードが用意した“美味な”アドリブブランフォード・マルサリスが仕上げていく。名コラボゆえの一級品の完成である。

 綿密なリハーサルをこなしての録音であろうが,聴こえてくるのは“初めてプレイしたかのような”緊張感。この緊張感がピアノベースドラムにも伝染した“熱演”である。

 トランペットソロの36秒でも,テナーソロの1分45秒でも,バックから,メンバーの“うなり声”が聴こえてくる! それが“熱演を物語る”揺るがぬ証拠である。

BRANFORD MARSARIS : Tenor Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet

ブランフォード・マルサリス / モ’・ベター・ブルース / HARLEM BLUES4

 『MUSIC FROM MO’ BETTER BLUES』の1曲目は【HARLEM BLUES】(以下【ハーレム・ブルース】)。


 【ハーレム・ブルース】は映画主題歌でもある美しいボーカル・ナンバー。

 ブランフォード・マルサリスソプラノ・サックスを吹いているが,シンダ・ウイリアムスへの素晴らしいサポート,間奏でのアドリブ,そのどちらもが素晴らしい!
 特に3分2秒からのソロと曲の終わりを締めるソロが聴き所。

 しかしシンダ・ウイリアムスの本業は女優であるのに,歌が上手! 普段ボーカルものはほとんど聴かないせいなのか,管理人の心に染みてきた。
 参考までに日本女優でも柴咲コウの歌は好きである(本当にどうでもいい話です)。

 このようにアドリブログは文章もアドリブ=乱文,乱筆。
 管理人は楽器の演奏はできないので,せめて筆を楽器として自由にインプロヴァイズさせてくださいねっ!

BRANFORD MARSARIS : Soprano Saxophone
KENNY KIRKLAND : Piano
ROBERT HURST : Bass
JEFF 'TAIN' WATTS : Drums
TERENCE BLANCHARD : Trumpet
CYNDA WILLIAMS : Vocal

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