アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

デューク・ピアソン・クインテット / ハッシュ!5

HUSH!-1 デューク・ピアソンの“幻の名盤”というか“幻のレーベル”「JAZZ LINE」の1枚が『HUSH!』(以下『ハッシュ!』)。

 デューク・ピアソンの才能に目を留めたのはブルーノートの「総裁」アルフレッド・ライオンだけではなかった。パシフィック・ジャズ出身のフレッド・ノースワーシーなる人物である。
 そんなフレッド・ノースワーシーが設立したのが「JAZZ TIME」レーベルであり,後の「JAZZ LINE」レーベルであるが,すぐに倒産してしまった。倒産の理由はフレッド・ノースワーシーの好みのジャズメンがマニアックすぎたから,と言われている。

 そんな玄人好みの「JAZZ TIME」が3枚+「JAZZ LINE」が2枚の合計5枚の貴重なレコーディング・メンバーにデューク・ピアソンが含まれている。
 少量生産の完全なるコレクター・アイテムである。レア品なのである。内容が良くても会社がなくなったのだから陽の目を見ない。だから“幻の名盤”なのである。

 さて,こんな書き出しで紹介した『ハッシュ!』=“幻の名盤”説であるが,管理人は『ハッシュ!』=“幻の名盤”説にはもう1つの意味があると思っている。
 それはデューク・ピアソン名盤群の中で『ハッシュ!』だけが,ツイン・トランペットによる「異色の編成」で制作されている事実。

 そう。デューク・ピアソンのファンが『ハッシュ!』について“幻の名盤”と語る時,それは「JAZZ LINE」だからではなく“管を鳴らす”デューク・ピアソンが手掛けた,唯一のツイン・トランペット編成のことを指すのである。

HUSH!-2 『ハッシュ!』のメンバーは,ピアノデューク・ピアソンベースボブ・クランショウドラムウォルター・パーキンスによるピアノ・トリオに,トランペットドナルド・バードジョニー・コールズ

 ドナルド・バードジョニー・コールズのスタイルが近いせいなのか,ツイン・トランペットならではのホーン・アンサンブルが美味い。同じ音域のトランペットの2台のズレが旨い。
 この辺のアレンジメントがデューク・ピアソンの“らしさ”である。『ハッシュ!』の中に充満している,後年のプロデューサー的な秀逸なバランス感覚にアルフレッド・ライオンフレッド・ノースワーシーも惹かれてしまったのだろう。

 渋い演奏である。それだけではなく温かい演奏である。素朴な旋律のジャズ・ピアノに乗ったツイン・トランペットのライン取りが『ハッシュ!』を,デューク・ピアソン・ファンが選んだ“幻の名盤”へと押し上げた要因である。

  01. Hush!
  02. Child's Play
  03. Angel Eyes
  04. Smoothie
  05. Sudel
  06. Friday's Child
  07. Out Of This World
  08. Hush! (alternate take)
  09. Child's Play (alternate take)
  10. Sudel (alternate take)
  11. Groovin' For Nat' (Unissued take)

(ジャズライン/JAZZLINE 1962年発売/MZCB-1183)
(☆HQCD仕様)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/後藤誠,馬場雅之,原田和典)

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矢野 顕子×上原 ひろみ / ラーメンな女たち -LIVE IN TOKYO-5

ラーメンな女たち -LIVE IN TOKYO--1 『GET TOGETHER −LIVE IN TOKYO−』は「矢野顕子 & 上原ひろみ」による対等なピアノデュオで間違いないが『ラーメンな女たち −LIVE IN TOKYO−』は「矢野顕子 WITH 上原ひろみ」なピアノデュオである。

 『ラーメンな女たち −LIVE IN TOKYO−』は,力関係として矢野顕子が思いっきり前に出ている。上原ひろみ矢野顕子ピアノを弾かない時の「伴奏者」まで勤め上げている。
 そう。『ラーメンな女たち −LIVE IN TOKYO−』の真実とは,上原ひろみから矢野顕子へ捧げたリスペクトなのである。

 これを上原ひろみの視点から語れば,矢野顕子とのピアノデュオ作『ラーメンな女たち −LIVE IN TOKYO−』はチック・コリアとのピアノデュオ作『DUET』の再来である。

ラーメンな女たち -LIVE IN TOKYO--2 『DUET』での上原ひろみは「チック・コリア大好き」が出まくっていた。上原ひろみチック・コリアに“しがみついて”2人で3台分の“饒舌な”同じ個性のピアノを聴かせてくれた。
 今回の『ラーメンな女たち −LIVE IN TOKYO−』での上原ひろみも「矢野顕子大好き」が出まくっている。今回のは矢野顕子を自分の“懐に抱え込んで”矢野顕子上原ひろみっぽいピアノを弾かせている。

 結果『ラーメンな女たち −LIVE IN TOKYO−』では,2人で4台分のピアノの音が記録されている。その上に矢野顕子の“あの”ヴォーカルが乗っかっている。
 「矢野顕子 WITH 上原ひろみ」の真実とは,上原ひろみが引っ込んだわけでも,矢野顕子が前に出たわけでもない。
 上原ひろみ自身が前に出るために,意図的に矢野顕子を「前に出した」結果なのである。

ラーメンな女たち -LIVE IN TOKYO--3 事実『ラーメンな女たち −LIVE IN TOKYO−』は全曲,上原ひろみ・アレンジング。本気モードの上原ひろみのアレンジが素晴らしい。
 特に前作『GET TOGETHER −LIVE IN TOKYO−』にも収録されていた【ラーメンたべたい】のニュー・バージョンは,面白いでも興味深いでもなく,ただただカッコ良い! 塩・醤油・トンコツ・魚介の全てを食べ尽くした上での創作ラーメンの名店の味がする!?

 ふらっと街を歩いていて,気になったお店に入ったらドンピシャ・ストライクのラーメン食べ歩きの妙! 最初はぶっ飛んだ味がガツンと来て,今まで食べたことのない味だと思っていたのに,食が進むにつれ,なんだか懐かしい味に思えてくる! 最後は「王道」の味へと戻って来る! 「二段仕掛け」のジャズ・ピアノ

 「二段仕掛け」の先発はいつだって矢野顕子である。矢野顕子が未知の音を探しにロケットで発車するが「二段エンジン」役の上原ひろみがバックで巧みに呼び寄せる。どこまで飛んでもちゃんと綺麗に着地する。矢野顕子流ではなく上原ひろみ印で着地を決めていく。

ラーメンな女たち -LIVE IN TOKYO--4 “天才”上原ひろみの「無茶振り」に最高の答えを返す“元祖・天才”の矢野顕子
 矢野顕子上原ひろみの『ラーメンな女たち』の絆は深い。同じラーメン店に入って,別々のラーメンを注文しようとも絆は深い。
 『ラーメンな女たち −LIVE IN TOKYO−』は,そんな画面が見える感じのライブ盤であった。

 管理人も鈴木商店と一風堂のスープを割ったものに一蘭のバリカタ麺をぶっかけてニンニク多めで食べますかっ。智子レストランで!

  CD
  01. 東京は夜の7時
  02. おちゃらかプリンツ (おちゃらかほい〜フットプリンツ)
  03. 真赤なサンシャイン (Ain't No Sunshine〜真赤な太陽)
  04. 飛ばしていくよ
  05. Dreamer
  06. こいのうた
  07. ホームタウン・ブギウギ (東京ブギウギ〜New York, New York)
  08. ラーメンたべたい

  DVD
  01. 飛ばしていくよ (ライヴ・クリップ)
  02. こいのうた (ライヴ・クリップ)

(テラーク/TELARC 2017年発売/UCCO-8011)
★【初回限定盤】 SHM−CD+DVD
★スリーヴ・ケース仕様

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デューク・ピアソン / テンダー・フィーリンズ5

TENDER FEELIN'S-1 『PROFILE』でのデューク・ピアソンが,クラシカルなジャズ・ピアニストであれば『TENDER FEELIN’S』(以下『テンダー・フィーリンズ』)でのデューク・ピアソンは,モダンジャズ・ピアニストである。

 『テンダー・フィーリンズ』を聴いているとデューク・ピアソンが「ピアノ・トリオの枠」を飛び越えてしまったように感じてしまう。ピアノ1台なのに“最先端のモダン・ジャズ”を見事に表現できている。
 それくらいに色彩豊かで,ピアノ以外の楽器がプレイしているような錯覚を感じる“豊かな音場”のピアノ・トリオが素晴らしい。

 デューク・ピアソン名盤群における『テンダー・フィーリンズ』の価値とは,純粋に「ピアノ・トリオ向きのピアニスト」としてのデューク・ピアソンを確認することにある。本当にそう思う。

 しかし『テンダー・フィーリンズ』を聴けば聴くほど,デューク・ピアソンのイメージが“ジャズ・ピアニスト”から離れていく。
 そんな非ピアノ・トリオの個性が,リリカルで小品な『PROFILE』と性格を異にする,と語られる所以であろう。

  きっとデューク・ピアソンには,頭の中にビッグ・バンドの音が聴こえているのだろう。『テンダー・フィーリンズ』の中のデューク・ピアソンは,手元にはピアノ1台しかないはずのに,あたかもビッグ・バンドピアニストの席に座ったかのように,忠実にピアノを演奏している。

 そして,ここが“ジャズ・ピアニストデューク・ピアソンの凄さなのだが,デューク・ピアソンビッグ・バンドの構成楽器のような1台のピアノを聴いていると(現実にはピアノ以外の音は無音なのだが)デューク・ピアソンだけに聴こえているはずのビッグ・バンド・サウンドが,聴き手にもイメージとして伝わってくるのだった。

 そう。デューク・ピアソンの頭の中だけで流れている音楽が,デューク・ピアソンピアノのプレイからこぼれ出している。超ハイセンスなデューク・ピアソンなのだから,こぼれ出す音を拾っていくだけで管理人は大満足。
 デューク・ピアソンにとってピアノという楽器は,お菓子作りをする時の「粉ふるい」のようなものだと管理人は思う。

TENDER FEELIN'S-2 モード・ジャズフリー・ジャズのエッセンスがありつつの,適度にブルージーなフィーリングにクラクラきてしまう。
 デューク・ピアソンは1959年の時点ですでにここまで考えていたんだ。時代にマッチングしつつも一歩先んじたお洒落なジャズ・ピアノ…。

 その類まれなる「総合力」で,徐々にピアニストというよりも,作曲家,編曲家,そしてプロデューサーとして大活躍することになるのだが,デューク・ピアソンの真の凄さは“豊かな音場”のピアノ・トリオにこそ表われると思っている。

 バラエティに富んだ全7曲の『テンダー・フィーリンズ』の極めて高い完成度。オーソドックスなのに最高にサイケなタイム感。
 『テンダー・フィーリンズ』を聴いた夜は,もう何もする気がなくなりその場から動けなくなってしまう。「骨抜きにされる」とはこのような状態を指すのであろう。

  01. BLUEBIRD OF HAPPINESS
  02. I'M A FOOL TO WANT YOU
  03. I LOVE YOU
  04. WHEN SUNNY GETS BLUE
  05. THE GOLDEN STRIKER
  06. ON GREEN DOLPHIN STREET
  07. 3 A.M.

(ブルーノート/BLUE NOTE 1959年発売/TOCJ-7027)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,原田和典)

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国府 弘子 / ピュア・ハート4

PURE HEART-1 国府弘子自らが公言する“初期の代表作”『PURE HEART』(以下『ピュア・ハート』)を聴いたのは“最高傑作”『PIANO LETTER』を聴いた後のことである。

 『PIANO LETTER』の2大名曲【さくら便り】と【忘れないよ】に,いたく心を打たれて,これは過去作も聴かなければと思い直して,スルーしていた『ピュア・ハート』を購入した。
 だからなのだろう。管理人にとっての『ピュア・ハート』とは,一般的な【スムーズ・ストラッティン】ではなく【ハッピエスト・ユー】のことである。
 【さくら便り】と【忘れないよ】の原型を探していたのだから【ハッピエスト・ユー】にハマッタのも当然の結果である。

 そう。国府弘子というジャズ・ピアニストは,日本人の心の琴線をえぐる曲を書く。しかも陰りがない明るい演奏なのに心に沁みる。
 国府弘子は,身体のどこかに傷を抱えているのかもしれない。パラリンピックのメダリストのような感じをイメージしてしまう。自分の傷など忘れて,ただただジャズ・ピアノに没頭することで,聴く者に勇気を与えてくれる。

 国府弘子のファンだったとしても,誰も国府弘子の苦労話など聞きたいとは思わない。事実『ピュア・ハート』の時点では,まだ本来の国府弘子は出せていない。「元気印」とは「ビタミン」というキーワードで,まだ自分の傷を覆い隠している時期である。

 『ピュア・ハート』のテーマとは「シングル・ガール」への応援歌だそうだ。これって,外で頑張っている国府弘子が,家に帰っては落ち込んでいる,もう1人の国府弘子を励ますための応援歌?
 過去の頑張っていた時の自分の姿に,今の自分が励まされることってしょっちゅうある。『ピュア・ハート』で頑張っていた過去の自分が愛おしく思い,ナニクソ,負けるか,もっと頑張ろう,と思うことがしょっちゅうある。

 最近まで闘病生活を経験していた国府弘子さんへのメッセージ…。
 国府弘子さん,病床で『ピュア・ハート』を聴き直されましたか? 【スムーズ・ストラッティン】のホーン隊のアンサンブルには元気が出ますよね? 【ハッピエスト・ユー】を贈った友人は,今でもきっと幸せな結婚生活を送っておられるのでしょうね?

PURE HEART-2 管理人の結論。『ピュア・ハート批評

 悲しくて泣く。うれしくて泣く。そんなの頑張り具合が『ピュア・ハート』の「ビタミン」な音に出ていると思う。顔で笑って心で泣いている【ハッピエスト・ユー】が,結婚式当日を迎えるまでに乗り越えてきた2人の愛情が音に出ていると思う。

 そ・し・て・『ピュア・ハート』での「独女」している国府弘子さんの黄色・緑色・青色のクレイジー柄のお召し物。巷の評判はよろしくないようですがアメカジ命の管理人は大好きですよっ。

  01. SMOOTH STRUTTIN'
  02. LUCK IN THE RAIN
  03. ANNABELLA
  04. VITAMINA
  05. WEEKEND
  06. CARRY ME WITH THE WIND
  07. BAREFOOT STEPPIN'
  08. IT'S COOL
  09. ONCE AND FOREVER
  10. MRS. ROBINSON
  11. HAPPIEST YOU (FOR YOUR WEDDING)

(ビクター/JVC 1992年発売/VICJ-127)
(ライナーノーツ/国府弘子)

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デューク・ピアソン / プロフィール5

PROFILE-1 デューク・ピアソンが大好きである。何が好きって,デューク・ピアソンのハイセンスが大好きである。
 作曲家とかアレンジャーとかプロデューサーとか,デューク・ピアソンのハイセンスな活動は幅広いが,デューク・ピアソンの才能をストレートに感じるのは“ジャズ・ピアニスト”としてのデューク・ピアソンが一番である。

 そんな“ジャズ・ピアニスト”としてのデューク・ピアソンプロフィールブルーノートからのデビュー盤『PROFILE』(以下『プロフィール』)にある。

 ドナルド・バードの歴史的なファンキー・ジャズを先頭に立って作り上げてきたデューク・ピアソンであるが,ソロ・アルバム『プロフィール』のページをめくると“リリカルなピアニスト”としての素顔が見え隠れする。

 そう。“ジャズ・ピアニストデューク・ピアソンの魅力とは,見事なバランス感覚というか「音楽」しているフィーリングだと思う。ジャズ・ピアノを聴いている感覚があるし,この演奏好き,という感覚もある。たまらなく満足感がある。

 こんな「好き」の感情を文章で伝えるのは難しい。この全ては管理人の個人的なイメージの優劣に負うところが大きいからだ。
 デューク・ピアソンと前後して活躍した“ジャズ・ピアニスト”たち。例えば,ビル・エヴァンスマッコイ・タイナーハービー・ハンコックチック・コリアキース・ジャレットについて語るのは難しくない。
 この5人は5人とも“ジャズ・ピアニスト”としてのデューク・ピアソンを軽〜く凌駕している。しか〜し,前述の5人にデューク・ピアソンのような魅力を感じるかと問われれば,答えは「NO」である。

 デューク・ピアソンのようにジャズ・ピアノのトーンでピアノを弾ける人は数少ない。甘くストレートでエレガントなのに,ツボを押さえた黒人らしいリズミカルなタッチ。
 デューク・ピアソンの弾くピアノの音が眩しい。ピアノが光輝いている。ピアノの甘さが空間に広がっていく。

PROFILE-2 デューク・ピアソンの弾くピアノのトーンとニュアンスは他の何物にも代え難い。ビル・エヴァンスキース・ジャレットには絶対出せない,意外性がデューク・ピアソンにはあって,時にハッとさせられてしまう。

 自分がビル・エヴァンスキース・ジャレットに求めていたものは,実はデューク・ピアソンが全部持ち合わせていたと思える瞬間が1曲に1度は襲ってくるのだった。

 『プロフィール』のデューク・ピアソンが,とにかく軽快そのもの。軽く軽く,肩の力が抜けたリリカルな響きがハートを射抜いてくる。デューク・ピアソンが粋だよね〜。いなせだね〜。江戸っ子だよね〜。

 管理人はデューク・ピアソン好きだというジャズ・ファンの耳を全面的に信用しています。

  01. LIKE SOMEONE IN LOVE
  02. BLACK COFFEE
  03. TABOO
  04. I'M GLAD THERE IS YOU
  05. GATE CITY BLUES
  06. TWO MILE RUN
  07. WITCHCRAFT

(ブルーノート/BLUE NOTE 1959年発売/TOCJ-7065)
(ライナーノーツ/アイラ・ギトラー,原田和典)

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国府 弘子 / ブリッジ4

BRIDGE-1 管理人にとって国府弘子と来れば,どうしても天野清継との『AZURE』であり「天国プロジェクト」での『HEAVEN』『HEAVEN AND BEYOND…』である。この印象が如何せん強烈すぎる。

 まぁ,当時の管理人は「天野清継国府弘子の名コンビ」を「パット・メセニーライル・メイズの日本版」だと本気で思っていた。
 だから国府弘子アメリカデビューすると聞いて本当にワクワクしたことを覚えている。

 そんな国府弘子にドハマリしていた時期に届けられたアメリカデビュー盤の『BRIDGE』(以下『ブリッジ』)に,肩透かしを喰わされた。
 う〜む。天野清継から離れた国府弘子がパッとしない。そう言う意味では国府弘子パット・メセニーから離れたらパットしない?ライル・メイズっぽいという点は当たっている?

 そう。『ブリッジ』での国府弘子は,管理人が恋したハーモニストではなく,フロントに立ってバンド全体をリードするバンド・リーダー。要はアンサンブルで聴かせるピアノフュージョン
 軽快なビートと心温まるメロディー・ラインが,日本とアメリカのピアノフュージョン・ファンを,そして国府弘子とリスナーの心と心を結ぶ架け橋=『ブリッジ』なのだろう。

 国府弘子アメリカで売り出す“名刺代わり”の『ブリッジ』。国府弘子=日本のジャズ・ピアニストを印象付けるは【竹田の子守歌】。
 国府弘子トリオを組むのはベースエイブ・ラボリエルドラムアレックス・アクーニャによる大物アメリカン・リズム隊。日本の心を表現するのは難しいコンビだと思うのだが,これが実に情緒ある奥深い演奏で心を揺さぶってくれる。

BRIDGE-2 管理人の結論。『ブリッジ批評

 『ブリッジ』は国府弘子が一番アメリカに,一番スムーズジャズに寄ったアルバムである。
 基本キャッチーで“売れ線”を狙っているのだが,そこは“やっぱり”国府弘子である。普通では終わらない。国府弘子のファンからすると『ブリッジ』は,国府弘子で一番マニアックなアレンジが施されていて“異色の”アルバムである。

 個人的には『ブリッジ』がヒットしなくてかえって良かった。国府弘子スムーズジャズのカテゴリーに収まるピアニストではない。そのことをビクターも認識できて良かったと思っている。

  01. Catalina Island
  02. Rudy's Dream
  03. Bridge Over the Toubled Water
  04. Lullaby of Takeda
  05. Essence
  06. Lettin' Go
  07. Keep Hope Alive
  08. Baked Potato Man
  09. Innocence of Spring
  10. Our Story
  11. Peranzzetta
  12. Serenata

(ビクター/JVC 1997年発売/VICJ-60071)

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