アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

山中 千尋 / ユートピア4

UTOPIA-1 山中千尋ジャズ・クラシック・アルバムの第2弾が『UTOPIA』(以下『ユートピア』)。
 前回の『モルト・カンタービレ』が大好評。個人的にも『モルト・カンタービレ』の続編を期待していたので,今度は更に過激なアレンジで攻めてくるかと思いきや『ユートピア』には5年前に体感した“衝撃”があまり感じられなかった。

 勿論『ユートピア』もいい演奏ばかりである。特にモータウンな5拍子のビートがノリノリの【白鳥】には心底ヤラレテしまった。凄い&凄い。こんな【白鳥】を聴けるのは,世界中で山中千尋だけ!

 クラシックをカヴァーしたジャズ・アルバムと来ると,ジャズの特長であるリズムを変えるのがセオリー。『ユートピア』も山中千尋得意の「変拍子」の多投でガラッと印象を変えている。
 激変したリズムに耳も慣れ,いざメロディーに注意を向けていくと,ほぼオーソドックス。ここが何とももどかしい。山中千尋の個性であろう“遊び”の部分が薄いのだ。

UTOPIA-2 山中千尋の本気度を評価できるのは,曲の途中でピアノソロキーボードソロへの攻めた展開にある。ピアノキーボードによる語法の違いやズラシはあるが,1つの同じ世界なのに別々の世界が同居している感じがちーたんらしいのだ。

 弾き始めは有名クラシックを演奏しているつもりだろうが,やっぱり山中千尋は自身のオリジナル気分なんだよなぁ。そう感じるくらいにピアノキーボードを弾き倒している。
 これはアドリブではないよなぁ。全てが事前のアレンジであって計算されている。ここまでクラシックの所謂スタンダードを骨格の部分と上物の部分に分解し,壊してはならない柱には触らず,いじれる部分だけをいじり倒している。この「線引きの才能」が本当に素晴らしいと思う。

 一聴すると奇想天外なアレンジなのだが,何回も聴き込んでいくうちに実は緻密にアレンジされていることが伝わってくる。『ユートピア』はそんなアルバムだと思う。
 その視点で聴き返すと『モルト・カンタービレ』にも,クラシック出身の山中千尋ならではの教養の深さに説得されたことが分かるのだった。

UTOPIA-3 管理人の結論。『ユートピア批評

 『ユートピア』はクラシックも聞くジャズ・ファン向き,あるいはジャズも聞くクラシック・ファン向きであって,山中千尋ファンとしては,想定の範囲内での「なんでこうなるのっ」!的なアルバムである。

 …って『ユートピア批評も『モルト・カンタービレ批評の続編になっちゃいました。すみません。
 もっとちーたんのような深い解釈ができると良かったのですが『ユートピア』には正直,入れ込みが足りません。

PS 「UTOPIA-3」は販促用のクリアファイルです。

   CD
  01. Utopia
  02. La Piere D'une Vierge
  03. Mambo -from West Side Story-
  04. Rhapsody In Blue〜Strike Up The Band
  05. Le Cygne
  06. Piano Sonata No.4
  07. Orchestral Suite No.2 -Badinerie〜Ricochet
  08. Arpeggione Sonata
  09. I Loves You, Porgy
  10. Shinda Otokono Nokoshita Monowa〜Hope For Tomorrow
  11. Hungarian Dance No.5
  12. Songs My Mother Taught Me

   DVD
  01. La Piere D'une Vierge
  02. Rhapsody In Blue〜Strike Up The Band
  03. I Loves You, Porgy

(ブルーノート/BLUE NOTE 2018年発売/UCCJ-9215)
★【初回限定盤】 UHQCD+DVD

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エリック・アレキサンダー・カルテット / 真夜中のブルース4

BLUES AT MIDNIGHT-1 管理人はハロルド・メイバーンが大好きでエリック・アレキサンダー絡み以外でもハロルド・メイバーンソロ・アルバムも結構な枚数所有している。 ← ってハロルド・メイバーンピアノを一番聴いたのは矢野沙織ちゃんのアルバムで〜す。

 そんなハロルド・メイバーン・フリークとして自信を持ってお勧めできるのが,エリック・アレキサンダー名義の『BLUES AT MIDNIGHT』(以下『真夜中のブルース』)である。
 そう。『真夜中のブルース』は,エリック・アレキサンダーではなくハロルド・メイバーンを聴くためのブルース・アルバムなのである。

 『真夜中のブルース』でのエリック・アレキサンダーの出来は悪くはない。ブルースを題材に黒ノリの新境地にチャレンジしている。
 ただ悲しいかなエリック・アレキサンダーに感情過多は似合わない。オールド・スタイルは似合わない。自然発生的な極上のアドリブは吹き切れていない。

 いいや,エリック・アレキサンダーの出来が悪いのではなくて,ハロルド・メイバーンの出来が良すぎるのだ。
 …って,このままハロルド・メイバーン絶賛レビューを続けようかとも思ったが『真夜中のブルース』のリーダーはエリック・アレキサンダー“その人”であ〜る。

 ひとくちにブルースといっても,そこには様々なテイストがある。『真夜中のブルース』の選曲の中には,例えば12小節の繰り返しのテーマを持っていない,すなわち厳密なブルースではなく,ブルースっぽい曲も取り上げられている。

 そう。形式としてのブルースを基軸にすることによって,かえってエリック・アレキサンダーの持っているコンテンポラリーな個性がくっきり浮かび上がっている。
 ハロルド・メイバーンピアノ・トリオが生み落とす,大らかなスケールで絶妙なGROOVEに乗りまくるハロルド・メイバーンテナーサックスが『真夜中のブルース』の聴き所であろう。

BLUES AT MIDNIGHT-2 『真夜中のブルース』が証明するエリック・アレキサンダーの類まれな個性。エリック・アレキサンダーは保守的なテナーサックス・プレイヤーに違いはないが,ジャズのルーツやモダン・ジャズの伝統を大切にしながらも,様々な音楽的アイディアを盛り込んで,きわめて今日的な感覚で料理してみせる。

 ハロルド・メイバーン基準であれば星5つだが,エリック・アレキサンダー基準としては星4つの『真夜中のブルース』。それでも現代の「テナー・タイタン」エリック・アレキサンダーを「アレキサンダー大王」と呼ぶことに躊躇はない。

 個人的には『真夜中のブルース』から20年後のブルース・アルバムを早くも楽しみにしている。

  01. Sayonara Blues
  02. Hittin' The Jug
  03. Willow Weep For Me
  04. Dis Here
  05. Is It You
  06. Caribe
  07. Dance With Me
  08. St. Louis Blues
  09. Edward Lee

(ヴィーナス/VENUS 2013年発売/VHCD-1124)
(ライナーノーツ/岡崎正通)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 2000年度(第34回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は2000年度(第34回)の発表です。

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ウィスパー・ノット★【金賞】. ウィスパー・ノット
キース・ジャレット


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トリオ99→00★【銀賞】.トリオ99→00
パットメセニー


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ローマからの手紙★【日本ジャズ賞】.ローマからの手紙
ケイコ・リー


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ホールディング・バック・ジ・イヤーズ★【ボーカル賞(海外)】.ホールディング・バック・ジ・イヤーズジミー・スコット


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KIMIKO★【ボーカル賞(国内)】.KIMIKO
伊藤君子


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コンプリート・スタジオ・レコーディングス・オン・サヴォイ・イヤーズ Vol.4 (紙ジャケット仕様)★【編集企画賞】.サヴォイ創立60周年アニヴァーサリー・シリーズ


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ベッドで煙草はよくないわ★【製作企画賞】.ヴィーナス・ミレニアム・ピアノ・トリオ・シリーズ


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エラ・フィッツジェラルド〜サムシング・トゥ・リヴ・フォー〜 [DVD]★【最優秀ジャズ・ビデオ賞】.サムシング・トゥ・リブ・フォーエラ・フィッツジェラルド


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BIRDLAND★【最優秀録音賞(ニューレコーディング)】.バードランド笹路正徳&LAオールスターズ


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ブライト・アンド・ブリージー★【最優秀録音賞(リマスタリング)】.“ヘリテッジ・オブ・ジャズ”シリーズ(Riverside他)


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ヨーロピアン・クインテット★【ニュー・スター賞(海外)】.ヨーロピアン・クインテットジェシ・ヴァン・ルーラー


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ジャスト・ユー★【ニュー・スター賞(国内)】.ソー・ナイス/ジャスト・ユー小林桂


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 キース・ジャレットの『ウィスパー・ノット』が【金賞】受賞。

 キース・ジャレットが『ウィスパー・ノット』で“完全復活”ののろしを上げた。
 実は管理人のキース・ジャレットトリオの1枚は『マイ・フーリッシュ・ハート』が出るまでは,体調や季節の変化に合わせ『アット・ザ・ディア・ヘッド・イン』な時期があるにしろ,長らく『ウィスパー・ノット』が鎮座した。
 それ程までに強烈なスイング感と疾走感。キース・ジャレットが大爆発し,ゲイリー・ピーコックジャック・デジョネットキースに離されまいとして前がかりになって攻め上がっていく感じが素晴らしい。

 ところで今回は今までの1年1枚の掟を破っての【銀賞】『トリオ99→00』もお奨めする。パットメセニージャズ・サイドの活動の主軸であるギター・トリオの集大成。
 マニアックすぎないパットメセニーのポピュラリティーが素晴らしい。【銀賞】にして【金賞】と同格である。

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e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / ライヴ・イン・ロンドン5

E.S.T. LIVE IN LONDON-1 「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の新譜が6年振りにリリースされた。ただし,直輸入盤を除いて国内盤購入括りの管理人からすると『301』は発売されていないに等しいゆえ( ← ネットで試聴して,輸入盤は買わない主義を本気で撤廃しようか迷い中 )セラビー宅には『LEUCOCYTE』以来,実に10年振りに到着した「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の新譜となる。

 エスビョルン・スヴェンソンの残念な事故死から10年。この10年間で「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」を取り巻く環境は大きく変化した。ポスト・ロックの旗手であり「ジャズを演奏するポップ・バンド」としての評価が上がったのだ。

 エスビョルン・スヴェンソンの死と入れ替わるように登場してきたロバート・グラスパーゴー・ゴー・ペンギンピアノエスビョルン・スヴェンソンの影響が感じられる。
 いいや,巷は「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の起こした革新的な音楽スタイルで溢れている。もはや「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」は,現代の音楽シーンのバックグラウンドなのだと言い切ってしまおう。

 だ・か・ら『E.S.T. LIVE IN LONDON』(以下『ライヴ・イン・ロンドン』)を初めて聴いた時,特段の衝撃を感じなかった。「何だかいつも通りだなぁ」と思ってしまった。こんな感想「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」では初めてのことだった。
 そう。この「並みのアルバム」「普通のライブ」と聴こえてしまう感想こそが「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」がありふれてしまった証拠なのである。

 だ・か・ら『ライヴ・イン・ロンドン』は2週目からが本当に来る。『ライヴ・イン・ロンドン』は「並みのアルバム」「普通のライブ」ではなかった。
 巷に溢れるエスビョルン・スヴェンソンっぽいピアノエスビョルン・スヴェンソンピアノではなかった。

 エスビョルン・スヴェンソンピアノには,ダン・ベルグルンドベースマグヌス・オストラムドラムが必要なのだ。もの凄いリズム!
 10年振りの新作『ライヴ・イン・ロンドン』を聴いたことで「『e.s.t.』はジャズ・バンドではなく,ジャズも演奏するポップ・バンド」の明言を10年の時をかけて再認識させられてしまったように感じる。

E.S.T. LIVE IN LONDON-2 2枚組の『ライヴ・イン・ロンドン』はCD1が『VIATICUM』でCD2が『STRANGE PLACE FOR SNOW』中心のセットリスト。
 『VIATICUM』の楽曲も『STRANGE PLACE FOR SNOW』の楽曲も『ライヴ・イン・ロンドン』で成長している。

 『ライヴ・イン・ロンドン』は『VIATICUM』と『STRANGE PLACE FOR SNOW』の2枚組ライブ盤ではない。
 10年遅れでやってきた「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の新作である。現在もエスビョルン・スヴェンソンピアノ・トリオの拍動と鼓動が聴こえてくる。

 そう。エスビョルン・スヴェンソンジャズ・ピアノの音楽は「リアル」である。エスビョルン・スヴェンソンは今だ生き続けている!

  CD 1
  01. Tide Of Trepidation
  02. Eighty-eight Days In My Veins
  03. Viaticum
  04. Mingle In The Mincing-Machine
  05. In The Tail Of Her Eye
  06. The Unstable Table & The Infamous Fable

  CD 2
  01. When God Created The Coffeebreak
  02. Behind The Yashmak
  03. Believe, Beleft, Below
  04. Spunky Sprawl

(キングインターナショナル/ACT 2018年発売/KKE-080)
(CD2枚組)
(☆直輸入盤仕様 ライナーノーツ/オラシオ)

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JAFROSAX / JAFROSAX4

JAFROSAX-1 勝田一樹ソロ・プロジェクト「JAFROSAX」とは「JAZZTRONIK」方面の「クラブ・ジャズのポップス化」である。

 しかし「JAFROSAX」の『JAFROSAX』を「野崎良太サックスヴァージョン」と片付けるのは本意ではない。CDジャケットジャミロクワイの風貌だし?
 いやいや,そうではなくて『JAFROSAX』には小野塚晃の陰が大きいと思うからだ。

 ズバリ『JAFROSAX』を語る際,忘れてならないのはDIMENSIONの『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』の存在である。

 『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』とはDIMENSION最大の問題作。要はDIMENSIONの手による“リスニング系”のクラブ・ジャズ・アルバムであった。
 無機質なループに生楽器がアクセントをつけている。乾いている。COOLである。耳につくのは一定したグルーヴであってメロディーではなかった。

 だから「JAFROSAX」=「JAZZTRONIK」方面の「クラブ・ジャズのポップス化」に至ったのだろう。基本クラブ・ジャズにしてグルーヴよりもメロディー重視なのだろう。
 勝田一樹野崎良太=「JAFROSAX」とはならない。勝田一樹野崎良太小野塚晃が揃っての「JAFROSAX」なのである。

 それくらいに小野塚晃の熱量を感じる。管理人の『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』への不満は(初めてハッキリと書くが)小野塚晃への不満であった。
 『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』に,小野塚晃得意のJAZZYなアプローチがあれば。オルガン・ジャズなアプローチがあれば。DIMENSIONのその後も変わっていた?

JAFROSAX-2 小野塚晃の『JAFROSAX』でのリベンジとは「機械音と生音のバランス」にある。
 打ち込みの上に勝田一樹が吹き上げるテナーサックスと7人のゲスト・ヴォーカリストが,とことんPOPなのにJAZZYなアプローチで攻める小野塚晃のリズム・トラックと無邪気に戯れている。おお,これだこれっ!

 きっと野崎良太は『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』が大好きなことことだろう。勝田一樹小野塚晃も『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』を客観視できるまで聴き込んだことだろう。

 そう。「クラブ・ジャズのポップス化」=『JAFROSAX』で勝田一樹が掲げた「裏テーマ」とは『15TH DIMENSION “INTO A NEW WORLD”』のUPDATEアルバムなのである。

  01. Drawn 2 U
  02. In The Morning
  03. Going to the sky
  04. New Standard Of The Future
  05. Rollin'
  06. 真・空・感
  07. Wait & See
  08. Hi-Tech Jazz
  09. Just Like A Tiger's Eye
  10. Free
  11. Room In Your Heart

(コナミ/KMEWAVE 2004年発売/POCE-7318)

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エリック・アレキサンダー・カルテット / チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン4

CHIM CHIM CHEREE〜TRIBUTE TO JOHN COLTRANE-1 『CHIM CHIM CHEREE〜TRIBUTE TO JOHN COLTRANE』(以下『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』)とは,エリック・アレキサンダーによる「ジョン・コルトレーントリビュート」。

 エリック・アレキサンダーにとってジョン・コルトレーンとは,目標でありアイドルである。そんなエリック・アレキサンダーがアルバムの中に数曲ではなく,アルバム1枚まるまるジョン・コルトレーンと対峙すると知った時,管理人はエリック・アレキサンダーの「得も言われぬ覚悟」に期待してしまった。

 だから過去の「ジョン・コルトレーントリビュート」の系譜に流れている,例えばブランフォード・マルサリスの『至上の愛 ライヴ』とか,ケニー・ギャレットの『追求〜PURSUANCE〜コルトレーンに捧ぐ』のような,全身全霊を尽くした,超硬派で「命を削るような演奏」を勝手にイメージしてしまった。

 それがどうだろう。『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』は,ゴキゲンに楽しい「ジョン・コルトレーントリビュート」であった。
 いや〜,またしてもエリック・アレキサンダーにヤラレテしまった。『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』の印象はジョン・コルトレーンの手から離れて,完全に「アレキサンダー大王」の世界観に染め上げられてしまったのだ。

 そう。『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』におけるエリック・アレキサンダーは,ジョン・コルトレーンの模倣者ではない。
 ジョン・コルトレーン名演で知られる愛想曲をエリック・アレキサンダーが自分流に料理している。それでいてエリック・アレキサンダーの朗々とした表現力は,確かにジョン・コルトレーンに通じるものがある。

 ブランフォード・マルサリスケニー・ギャレットエリック・アレキサンダーのアプローチの色合いを聴き比べる限り,80年代を代表するブランフォード・マルサリス,90年代を代表するケニー・ギャレットではなく,2000年代を代表するエリック・アレキサンダーそれぞれの「ジョン・コルトレーンへの思い」に時代の違いを感じ取る。

 ジョン・コルトレーンの音楽像をキャッチする感覚は時代と共に変化している。「コルトレーン派・第三グループ」のエリック・アレキサンダーに『至上の愛』のコピーを期待するには無理があるし,シリアスな「ジョン・コルトレーントリビュート」では意味がない。

 でもでもちょっぴり,他の誰にでもなくエリック・アレキサンダーご指名で,超硬派な「ジョン・コルトレーントリビュート」を演奏してほしかったなぁ。
 ぶっちゃけ『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』は,これじゃあ,ただの演奏集じゃん。

CHIM CHIM CHEREE〜TRIBUTE TO JOHN COLTRANE-2 管理人の結論。『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン批評

 『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』のエリック・アレキサンダーカルテットに,現代に甦るジョン・コルトレーンカルテットを思い重ねてはいけない。

 ジョン・コルトレーンカルテットに色濃い「精神性」などエリック・アレキサンダーカルテットには感じない。
 エリック・アレキサンダーカルテットに感じるのは,ウキウキ・ノリノリ・ワクワクな現代のハード・バップだけである。

 『チム・チム・チェリー〜トリビュート・トゥー・ジョン・コルトレーン』は全曲名演であるが,個人的には【ON THE MISTY NIGHT】である。
 【ON THE MISTY NIGHT】を選曲するとは,エリック・アレキサンダーさん,ジョン・コルトレーンの大ファンだと認めます!? 「アレキサンダー大王」は分かっている!

  01. You Don't Know What Love Is
  02. Dear Lord
  03. On The Misty Night
  04. Chim Chim Cheree
  05. Pursuance
  06. Afro Blue
  07. The Night Has A Thousand Eyes
  08. Wise One

(ヴィーナス/VENUS 2010年発売/VHCD-1038)
(ライナーノーツ/小川隆夫)

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