アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

KK JAM / KK JAM4

KK JAM-1 「KK JAM」とは,サックス勝田一樹の「」とキーボード窪田宏の「」のダブルの「」にドラム石川雅春をリーダーとする“GROOVEトリオ”。

 石川雅春が目指した「KK JAM」とは,小野塚晃にはない,窪田宏特有の「GROOVEDIMENSION」であろう。
 しかし「KK JAM」の1stCDKK JAM』は,石川雅春勝田一樹DIMENSIONの3分の2が揃っているにも関わらず,イメージとしてはDIMENSIONではないし,勿論,窪田宏TRIX寄りでもない。
 ベースレスのトリオなのに,身体の底からグングンくるビート・イン・ビートは,窪田宏の足鍵でのバッキングとハーモニー!

 どんなに難しいユニゾンをキメまくっていようと『KK JAM』の印象は,窪田宏の作り出す“GROOVEの渦”を下から支える石川雅春+上から混ぜる勝田一樹の“SOLID”すぎる「KK JAM」のジャム・セッション
 それくらいに「KK JAM」=窪田宏の個性=エレクトーンシンセサイザー・サウンドが“光っている”&“際立っている”!

 そう。「KK JAM」とは,基本ジャム・セッション・スタイルでの音と音とのぶつかり合い! これがコアすぎてメロディーを追いかけている時間などほぼ残されていない。
 と言うか『KK JAM』の印象は,ほぼ一本調子。緊張感で張りつめた空気感が伝わってくる。この「場の空気」を変える唯一の武器が窪田宏の必殺・足鍵盤でのベース・ライン。勝田一樹サックスの動きに合わせて,1曲毎に表情を変えるベース・ラインの展開を耳で追うのが最高に楽しい。

 個人的にはラストのバラード・ナンバー【TUNE REQ】で“GROOVEの渦”をクールダウンする3人のミュージシャン・シップが気持ち良い。【TUNE REQ】を聴くために“アゲアゲのムチャブリ”で6曲30分間の間,アクセル全開でぶっ飛ばしてきたような気分なのです。

KK JAM-2 【TUNE REQ】のバラードなのに“GROOVEする”窪田宏の足ベースを聴いてみて欲しい。
 本当に足で弾いてるの?と思わせる,全く狂いなくピタっとハマる“静かなGROOVE”!

 おおっと,石川雅春の重いビートにキレが加わる,大技&小技でフロントを引き締めるドラミングもお聴き逃しなく!
 おおっと,勝田一樹の「ファズで泣き,フラジオで叫ぶ」テナーサックスもお聴き逃しなく!

  01. Duration
  02. Wind It Up
  03. Moment
  04. Obsession
  05. Latch Mode
  06. Groove Jam
  07. Tune Req

(ヒヨレコード/HIYO RECORDS 2006年発売/XQBD-1002)
(ライナーノーツ/櫻井隆章)

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デイヴ・ウェックル・アコースティック・バンド feat. 小曽根真,トム・ケネディ,ゲイリー・ミーク / オブ・ザ・セイム・マインド5

OF THE SAME MIND-1 「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」というバンド名は,かつてデイヴ・ウェックル自身が在籍した「チック・コリアアコースティック・バンド」を想起させる。
 しかし「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」とは,チック・コリアが「エレクトリック・バンド」と「アコースティック・バンド」を音楽性によって使い分けていたような「デイヴ・ウェックル版」の“派生バンド”などではない。

 あのデイヴ・ウェックルが,あの小曽根真が,あのトム・ケネディが,あのゲイリー・ミークが,ガチンコでインプロヴィゼーションの完璧な出来に酔いしれている。
 あのデイヴ・ウェックルが,あの小曽根真が,あのトム・ケネディが,あのゲイリー・ミークが,前のめりなアンサンブルに酔いしれている。

 ズバリ「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」の真実とは,プロのジャズメンが背負っているコマーシャリズム抜きに,自分たちが今本当に演奏したい音楽を純粋に演奏するためのバンドである。超多忙な“売れっ子”4人が結成した「自分たちの楽しみのための」リハーサル・バンドで間違いない。

 しか〜し,このリハーサル・バンドは,仕事以上に真剣勝負。事実,こんなにも本気で,こんなにも聴いて疲れるジャズバンドを聴いたのは久しぶりのことである。
 「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」の「音楽の会話」が周囲に漏れ出してしまっている。『OF THE SAME MIND』(以下『オブ・ザ・セイム・マインド』)に充満している,音の密度,音の鮮度に「完敗」してしまったのだ。

 デイヴ・ウェックルドラム小曽根真ピアノトム・ケネディベースゲイリー・ミークサックスが全て『オブ・ザ・セイム・マインド』の譜面通りに演奏されてはいない。
 小曽根真の仕掛けがバレテ,ニヤツイテいる瞬間や,トム・ケネディの難解な結び目を,デイヴ・ウェックルがまず見つけ,次に小曽根真が紐解いたものの,ついにゲイリー・ミークが最後まで解読できずに終わった瞬間の爆笑ムードたるや,これぞエンターテイメントの極致であろう。

 4人が4人とも,同じ空気を吸い,同じことを考え,新しいアプローチを試みる実験の場としての「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」。
 デイヴ・ウェックルのキメッキメはいつも通りなのではあるが,構成を練り上げた商業作品とは一線を画す,勢い一発で手加減知らずの「ケンカ」ジャズバンドなのに,誰がどう崩しても最終的には合ってしまうのだから・た・ま・ら・な・い!

 ズバリ『オブ・ザ・セイム・マインド』のまとまりの秘訣とは,デイヴ・ウェックルスティック1本の指揮にある。
 華々しいソロの裏側で,こんなにも丁寧に音を重ね,刺激を送り続け,献身的にサポートしている小曽根真は聴いたことがない。超絶技巧で弾き倒すトム・ケネディにしても,ゲイリー・ミークにしても,バンドマンのスタンスで自らの個性を鳴らしていく。

 そう。デイヴ・ウェックルが,小曽根真が,トム・ケネディが,ゲイリー・ミークが「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」のサウンドの一部として機能することを自ら熱望している。
 4人が4人とも,このバンド・サウンドこそが「ガチの自分」という思いなのだろう。

OF THE SAME MIND-2 自分の趣味を追及するために結成したバンドのはずだったのに,演奏を重ねるにつれ,実は自分のやりたい音楽とはデイヴ・ウェックルが志向するジャズだったことに気付いてしまった?
 実は自分のやりたい音楽とは他のメンバーへのサポートだったことに気付いてしまった?

 デイヴ・ウェックルの持つバカテクとユーモアが,小曽根真トム・ケネディゲイリー・ミークを魅了してやまない「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」のバンド・サウンド。

 世界的名手4人による,手加減なしの全力投球,が駆け出しのプロだった頃の瑞々しさに熟練のパワーを兼ね備えた大名盤。こんなにもワクワクするジャズバンドは自分だけのものしておきたい。

 そう。リハーサル・バンド=「デイヴ・ウェックルアコースティック・バンド」の結成を決めた瞬間のデイヴ・ウェックル小曽根真トム・ケネディゲイリー・ミークのように…。

  01. What Happened To My Good Shoes
  02. Something's Happening
  03. Songo Mikele
  04. Stay Out
  05. Koolz
  06. Stella On The Stairs
  07. Pacific Grove Fog
  08. Agua De La Musica
  09. All Blues
  10. Nothing Personal

(ユニバーサル・ジャズ/UNIVERSAL JAZZ 2015年発売/UCCU-1493)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/熊谷美広)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1987年度(第21回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1987年度(第21回)の発表です。

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STANDARD★【金賞】.スタンダード・タイム VOL.1
ウイントン・マルサリス


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Civilization★【銀賞】.シビリゼーション
トニー・ウイリアムス


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バド・アンド・バード★【銅賞】.バド・アンド・バード
ギル・エバンス&ザ・マンデイ・ナイト・オーケストラ


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ダイアン・シューア&ザ・カウント・ベイシー・オーケストラ★【ボーカル賞】.ダイアン・シューア&カウント・ベイシー・オーケストラ
ダイアン・シューア

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スクロール★【日本ジャズ賞】.スクロール
加古隆


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The Complete Vol.2★【編集企画賞】.ザ・コンプリート・ダイナ・ワシントン・オン・マーキュリー VOL.1(1946〜49)VOL.2(1950〜52)ダイナ・ワシントン

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ジョージ川口プレイズ・ハービー・ハンコック★【制作企画賞】.ジョージ川口プレイズ・ハービー・ハンコック
ジョージ川口

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Magical Trio 1★【録音賞】.マジカル・トリオ1
 ジェームズ・ウイリアムス〜レイ・ブラウン〜アート・ブレイキー

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 ウイントン・マルサリスの『STANDARD TIME,VOL.1』が【金賞】受賞。。

 『STANDARD TIME,VOL.1』は「新伝承派」のウイントン・マルサリス“らしい”スタンダード集で,演奏の質が素晴らしい。

 そうして「現在進行形のジャズの伝統」を演奏している点が何にも増して素晴らしい。1987年という時代の空気感を身にまとった,真新しいスタンダード集として聴けてしまう。
 ただし前面に出ているのは,偉大なスタンダード・タイムに対する「新伝承派」としてのリスペクトなのである。

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ジャンゴ・ラインハルト / ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション5

DJANGOLOGY-1 管理人にとってジャンゴ・ラインハルトと来れば,ジャンゴ・ラインハルト本人ではなく,モダン・ジャズ・カルテットMJQ)の【DJANGO】である。

 MJQの【DJANGO】がとにかく好きで【DJANGO】を演奏しているアルバムがあると片っ端から買い漁った時期がある。
 だから管理人はジャンゴ・ラインハルト本人を聴く前に擦り込まれた【DJANGO】に対するイメージで,実は全く無関係なジャンゴ・ラインハルトのイメージを形作っていた。
 【DJANGO】は買い集めるも,ジャンゴ・ラインハルト本人は聴いていない。このいびつな状態が10年間は続いていたように思う。

 なぜジャンゴ・ラインハルト本人の演奏は聴かなかったのか? それはジャズ好き=オーディオ好き!
 演奏内容に興味はあるが,あの古臭い音質で聴く気にはなれない。以前にチャーリー・パーカーの全曲集を買ったのだが,あれがトラウマになった。チャーリー・パーカーは,チャーリー・パーカー本人でなくても「パーカー派」を聴いていればよい,と思っていたものである。← 深く反省。

 だから『DJANGOLOGY』(以下『ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション』)の購入理由はリマスタリング!
 聴いてみた感想は,それなり,であったが,それほどまでに聞き難くはない。聴き続けるうちに耳が慣れて気にならなくなるレベル。「OK GOOGLE」からの「HEY SIRI」。

 『ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション』における「古き良き時代の音造り」に「うっとり」! とても心地良くゆったりと和んでしまう。最新マスタリングを施そうとも,この手の音が流れ出すとモノクロのヨーロッパ映画の世界に連れて行かれてしまう。雰囲気あるよなぁ。
 しかもそれだけではなくスリリング! ジャンゴ・ラインハルトが演奏するシャンソン・ナンバー,クラシック・ナンバーがジャズしている!

 ジャンゴ・ラインハルトの奏でるギターのアプローチは,同時代のジャズ・ギタリストたち,例えばジム・ホールケニー・バレルジョー・パスウェス・モンゴメリー等と比較すると,バンジョー仕込みの演奏スタイルが異質に響く。
 元来,ジャンゴ・ラインハルトはジプシーなのだから,ジャズギターに“おフランス的な哀愁が漂っている”のも当然であろ。

 でもでも,ジャンゴ・ラインハルトジャズギターに付随するエスプリ,渋さ,歌心などは「ツボ中のツボ」!
 『ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション』はクインテット編成での録音であるが,ステファン・グラッペリとのヴァイオリンデュオで聴かれる「アドリブの応酬」が「ジャズの王道中の王道」!

 成功の秘密はジャンゴ・ラインハルトステファン・グラッペリを,ステファン・グラッペリジャンゴ・ラインハルトを,それぞれ生かすためにフロントで演奏していてもバッキングに回っても“相手を活かし自分も活かす”表情豊かな模範演奏にあると思う。
 ステファン・グラッペリジャズヴァイオリンもまた『ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション』の聴き所の1つであろう。素晴らしい。

DJANGOLOGY-2 最良のパートナーを得て,創造性豊かなアドリブを演奏する“小粋さ”にグイグイ引き込まれてしまう。アーリー・ジャズだからと言って放置したのは間違いだった。
 と言うよりも,この演奏スタイルには古い録音の方が合っている,となんだか訳の分からない信念を抱くようになったオーディオ・マニアとしては「失格選手」な管理人…。

 最後に,管理人のような「ジャズは高音質で楽しないと!」主義の読者の皆さんへ。
 『ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション』だけはポリシーから積極的に除外すべき1枚です。是非,騙されたと思って聴いてみてくださいねっ。すぐに音質のことは忘れて演奏に耳が向いてしまうこと間違いなし。本当に音も悪くないから。

  01. I Saw Stars
  02. After You've Gone
  03. Heavy Artillery (Artillerie Lourde)
  04. Beyond The Sea (La Mer)
  05. Minor Swing
  06. Menilmontant
  07. Brick Top
  08. Swing Guitars
  09. All The Things You Are
  10. Daphne
  11. (It's Only A) Paper Moon
  12. Improvisation on Tchaikovsky'S "Pathetique" (Andante)
  13. The World Is Waiting For the Sunrise
  14. Djangology
  15. Ou es-tu, mon amour? (Where Are You, My Love?)
  16. Marie
  17. I Surrender, Dear
  18. Hallelujah
  19. Swing 42
  20. I'll Never Be The Same
  21. Honeysuckle Rose
  22. Lover Man (Oh, Where Can You Be?)
  23. I Got Rhythm

(BMG/BLUEBIRD 1949年発売/BVCJ-37330)
(ライナーノーツ/フランク・ヴィニョーラ,ドン・ゴールド)

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国府 弘子 / ピアノ一丁!4

ピアノ一丁!-1 国府弘子の次の新作を早く聴いてみたい。
 これが8年間,楽しみに待ち続けた『ピアノ一丁!』を聴き終わったばかりの管理人の感想である。

 フォローでも何でもなく『ピアノ一丁!』はいいアルバムだと思う。国府弘子ソロ・ピアノの一音一音が上品で美しい。真に芳醇なピアノである。アルバム単体として評価できるのなら,文句なしの「名演集」であろう。
 しかし『ピアノ一丁!』は国府弘子名義のアルバムである。国府弘子名盤群の中に入れてみると,どうにも異質である。管理人の愛する“弘子さま”が感じられないのだ。

 ズバリ,自分の感情を素直に告白すると『ピアノ一丁!』で,国府弘子が随分遠くへ行ってしまったように感じてしまった。何だかサバサバした感じの歌い方であって,メロディーが少し憂いを帯びている。
 元来,国府弘子は,ジャズ・ピアニストでも,フュージョンピアニストでもなかったのだが『ピアノ一丁!』では,意識的にヒーリング系を演じているように思う。

 そう。『ピアノ一丁!』のテーマは“癒し”であろう。国府弘子自身が乳がんとの闘病生活を送っている間に,近しい調律師の小沼則仁さん,敬愛する松岡直也さん,大好きな寅さんの訃報も聞いて過ごした( ← この3人については『ピアノ一丁!』で楽曲を選び各人へのレクイエムとして演奏している )。
 3部からなる組曲「ピアノテラピー」は,そのものズバリの,不調期の自分を癒すための作品だそうだ。

 だから『ピアノ一丁!』からは,国府弘子の憂いや悲しみ,そして慈愛が聴こえてくるようで,じっくりと聴いていられなくなる。一番聴きたかった【サクセス・ムーン・ダンス】でさえ,慰められているような気がして物悲しくなってしまう。
 いつもの元気調子なのは【ピアノ一丁!のテーマ】だけだったなぁ。

ピアノ一丁!-2 そう言えばキース・ジャレットにも同じようなアルバムがあった。慢性疲労症候群からの回復途上に録音された『THE MELODY AT NIGHT,WITH YOU』も,個人的には過大評価だと思っている。
 あれって本当にキース・ジャレットの最高を知っているなら評価できない“最右翼の迷盤”であろう。

 真にキース・ジャレットの実力を知り(自称)真に国府弘子の実力を知る者(自称)としては『ピアノ一丁!』を評価はできない。
 元気でそれでいてオセンチな“弘子さま”が戻ってきた時,盛大に国府弘子の快気祝いをしたいと思っている。

  01. Theme from Piano Iccho!
  02. You Tune My Heart
  03. So In Love
  04. Somewhere
  05. I. Time On My Own (SUITE "PIANO THERAPY")
  06. II. The Forest In My Dreams (SUITE "PIANO THERAPY")
  07. III. Meditation (SUITE "PIANO THERAPY")
  08. Success Moon Dance
  09. Goldern Slumbers
  10. Rhapsody In Blue
  11. Blood Circulation
  12. Starland
  13. Happy
  14. Cosmos Avenue
  15. Otoko Wa Tsuraiyo

(ビクター/JVC 2015年発売/VICJ-61708)
(ライナーノーツ/国府弘子)

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デューク・ピアソン / イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー5

IT COULD ONLY HAPPEN WITH YOU-1 『HOW INSENSITIVE』のB面から『IT COULD ONLY HAPPEN WITH YOU』(以下『イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー』)へと続くブラジリアン・フュージョンの大名演…。

 アイアート・モレイラフローラ・プリムを起用したブラジリアン・フレイバーは,出来上がりこそ異なれど,チック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエヴァー」と同じ方向性を見据えていたように思う。

 デューク・ピアソンピアノではなくエレピを中心に据えている。デューク・ピアソンエレピコンビを組むのがエルミート・パスコアールフルートである。
 フローラ・プリムヴォーカルが不安定で「ギャル」しているところも『イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー』特有の“味”である。

 『イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー』の録音年は1970年。あの『リターン・トゥ・フォーエヴァー』より2年も前のことである。
 『イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー』の発売年は1974年。あの『リターン・トゥ・フォーエヴァー』より先にリリースされてさえいれば…。

 デューク・ピアソンは,今では「知る人ぞ知る」存在である。だからマニアックなジャズ・ファンとしては「自分だけの」デューク・ピアソンみたいな感じがして熱狂度が上がるのだと思う。
 だから『イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー』の4年間の「遅れ」が惜しまれる。デューク・ピアソンの「地位向上」という意味合いが強いのだが『イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー』の4年間の「遅れ」は,ジャズフュージョン界にとっても損失であった。

 『リターン・トゥ・フォーエヴァー』とか『ウェザー・リポート』が,すぐに爆発的なヒット作と成り得たのは,チック・コリアジョー・ザビヌルウェイン・ショーターが「マイルス・スクール」の卒業生だったからだろう。
 その意味で,マイルス絡みではないデューク・ピアソンブラジリアン・フュージョンが「天下」を取ろうものなら,ジャズフュージョン界の動向は,チック・コリアに“先んじた”デューク・ピアソンに大いに影響されていたことであろう。
 ドナルド・バードマイルス・デイビスを押さえて“新・帝王”として君臨していたのかも?

IT COULD ONLY HAPPEN WITH YOU-2 管理人の結論。『イット・クッド・オンリー・ハプン・ウィズ・ユー批評。 

 “SOFTLY”な【IT COULD ONLY HAPPEN WITH YOU】〜【STORMY】〜【EMILY】の3連チャンのジャズヴォッサが艶やかすぎて『リターン・トゥ・フォーエヴァー』の衝撃クラスの快感である。

 単純に気分が良くなるという楽曲ではない。ジャズにブラジルのエッセンス,ジャズボサノヴァのエッセンスというものではなく,ジャズの本質とフュージョンの本質が絶妙に入り混じった,全く新しい音楽の誕生なのである。

  01. GIRA. GIROU (ROUND AND ROUND)
  02. HERMETO
  03. LOST IN THE STARS
  04. IT COULD ONLY HAPPEN WITH YOU
  05. STORMY
  06. EMILY
  07. BOOK'S BOSSA

(ブルーノート/BLUE NOTE 1974年発売/TOCJ-50526)
(ライナーノーツ/高井信成)

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