アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

国府 弘子 / ピアノ・タペストリー5

PIANO TAPESTRY-1 タペストリー,それは織物。タペストリー,それは綴織。『PIANO TAPESTRY』(以下『ピアノ・タペストリー』),それは国府弘子による公式「鶴の恩返し」。

 そう。『ピアノ・タペストリー』とは「一枚の布を織り上げるように音の響きを紡いで生まれた珠玉のソロ・ピアノ即興による有名曲のカヴァー集」。
 レコーディングまでの準備期間はゼロ。国府弘子ピアノに向かうまで譜面や構成を一切準備しなかったという。
 あの日あの時,国府弘子が自然に弾きたいと思った馴染みの美メロが「表われては消えてゆく」…。記憶と音と創造の糸を縦横に織り込んで出来上がった『ピアノ・タペストリー』…。

 国府弘子の心象風景の移ろいを感じられるような音の連なりが絶妙であって,1つ1つの曲の構成よりも18曲全てを聴き通して1つの大きな曲が完成している。事実『ピアノ・タペストリー』は,曲間わずかに1秒な感じで,18曲がコンパクトに連続で一気に流れていく。
 ピアノが優しくしっとりと詩情豊かに絡み合ってくる感じで,曲が変わっても静かに数曲前のメロディー語りかけてくる。最高の完成度である。
 あれっ,これってDJが2台のターンテーブルで曲をつなぎ合わせる手法と似ているのか? “DJ国府”の絶妙なつなぎに「萌え」〜。

 NO! 本来『ピアノ・タペストリー』は繰り返し聴き込む種類のアルバムではないが,気持ち良くて何度も聴いているうちに気付いたことがある。
 『ピアノ・タペストリー』の真髄とは,タペストリーとは真逆の「解体新書」なのだと思う。
 音を紡いでいるはずなのに,実際には音のひだをほどいていく感覚…。国府弘子が自分の心を覆う内面のベールを,1枚1枚剥ぎ取っては聴かせてくれるような感覚…。

 国府弘子の体内の膨大な美メロのデータベースの中からセレクトされた名曲中の名曲が18曲。その中でも“最も美味しい”メロディー・ラインが切り抜かれて提示されている。
 そう。『ピアノ・タペストリー』がカヴァー集なのに名盤と称される理由とは,アルバムを織り成す1本1本の糸が強く美しいからである。

PIANO TAPESTRY-2 国府弘子自身は『ピアノ・タペストリー』を「鶴の恩返し」を例に解説している。鶴の化身が部屋に隠れて機を織る様子をソロ・ピア
のスタジオ作業に重ねている。
 スタジオの中にはピアニストが一人ぼっち。そのピアニストは,誰かの喜びのために,一人せっせと作業をしている。名曲を1度完全に解体して,その中で使用されていた糸を取り出して再構築してみせたのが『ピアノ・タペストリー』なのである。

 とは言え『ピアノ・タペストリー』はスタジオ・ライブ・レコーディング。“DJ国府”の解体力と構築力が図抜けている。いい演奏である。

  01. OVERTURE
  02. MAIDEN VOYAGE
  03. CHANGE THE WORLD
  04. REQUIEM
  05. INVENTION
  06. IN MY LIFE
  07. FIELDS OF GOLD
  08. SCARBOROUGH FAIR / CANTICLE
  09. PASTORALE〜BURGMULLER FROM “25 EASY STUDIES OP.100”
  10. OVER THE RAINBOW〜IT MIGHT AS WELL BE SPRING〜MY
     GRAND FATHER'S CLOCK

  11. LADY MOONLIGHT
  12. KAERENAI-FUTARI
  13. WHAT A WONDERFUL WORLD〜MIAGETEGORAN-
     YORUNOHOSHIWO

  14. PASSARADA〜LUCK IN THE RAIN
  15. SUNSHINE DAY
  16. 'ROUND MIDNIGHT
  17. SUNSET BEACH
  18. CLIMB EV'RY MOUNTAIN

(ビクター/JVC 2001年発売/VICJ-60746)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/国府弘子)

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デューク・ピアソン / プレイリー・ドッグ4

PRAIRIE DOG-1 デューク・ピアソン大好き人間として断言しよう。『PRAIRIE DOG』(以下『プレイリー・ドッグ』)でデューク・ピアソンは「一度壊れてしまった」のだと思う。
 『プレイリー・ドッグ』で,初期のデューク・ピアソンが逝っている。『プレイリー・ドッグ』こそが,デューク・ピアソン「バージョン2」の始まりなのである。

 “天才”ゆえの悩みなのか,初めてブチ当たった壁なのか,デューク・ピアソンが“リリカル&ファンキー”路線の「自分の殻を打ち破ろうと」必死にもがいている。

 5拍子と6拍子が交錯する【THE FAKIR】は,なぜに今更な【TAKE FIVE】と【MY FAVORITE THINGS】的なフルートソプラノサックスの,いいとこどりな合作である。

 【PRAIRIE DOG】も,ゴスペルチックなデューク・ピアソンのリバイバル・ソングであって,ギターホーンのアンサンブルが延々続くカントリー・ソング。【PRAIRIE DOG】こそがアメリカン・フォークの「王道」である。

 ブルース調の【SOULIN’】とモーダルな【LITTLE WALTZ】では「新主流派」的な“リリカル&ファンキー”であって,この2トラックがデューク・ピアソンの“らしさ”&“さすが”が“COOL”に伝わってくる。
 他のアルバムに入っていたなら名演として押されたのかもしれないが,個性派揃いの『プレイリー・ドッグ』の中に入っていては,平凡すぎて埋没しているのかなぁ。

 【HUSH−A−BYE】と【ANGEL EYES】は,共にジャズライン時代に取り上げたデューク・ピアソンの愛想曲の再演。
 アレンジを前回から思いっきり変えて,チェレスタデューク・ピアソンベーシストボブ・クランショウとの白眉のデュエット
 美しいオルゴールの世界の後ろでボブ・クランショウの「ブンブン」弾きまくる低音をフィーチャリングしたアイディアが素晴らしいと思う。

PRAIRIE DOG-2 そう。『プレイリー・ドッグ』は,デューク・ピアソンによる「本当にやりたかったいジャズの総決算」的なアルバムである。
 果たして,その出来映えであるが,デューク・ピアソンが自分自身で過去のデューク・ピアソンを否定したかのようなアルバムに聴こえる。

 やりたいことが多すぎて,どうまとめたらよいのか先が見えずに,自分をコントロールできなくなったデューク・ピアソンの“知性派”が初めて乱れている。トータル・イメージが散漫なデューク・ピアソンの“闘争本能”が露わにされている。

 でもそこがたまらなくいいのだ。まとまりなど二の次なのだ。出来は一段落ちる。
 でも「完全に壊れてしまった」デューク・ピアソンが聴ける。これこそが『プレイリー・ドッグ』最大の聴き所なのだ。

 出来の悪い子供こそ「情が移る」というものだ。時間をおいて練り上げられた名盤SWEET HONEY BEE』への初期の制作過程を聴いている気分になれるのも良い。
 だ・か・ら『プレイリー・ドッグ』は聴き飽きない。

  01. THE FAKIR
  02. PRAIRIE DOG
  03. HUSH-A-BYE
  04. SOULIN'
  05. LITTLE WALTZ
  06. ANGEL EYES

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1966年発売/WPCR-27166)
(ライナーノーツ/ジャック・ショー,岡崎正通)

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国府 弘子 / モーメンツ5

MOMENTS-1 『DIARY』〜『PIANO LETTER』と来て,国府弘子に“お熱を出した”管理人は過去作を漁るアクション〜。

 ただし,その時,たまたまだったのだろうが,千葉市内,習志野市内,船橋市内を数軒回ってCD屋で買えた国府弘子の過去作は『PURE HEART』1枚のみ。
 もやもやしつつ,東京へ買いに出かけようかというタイミングでリリースされたのが,国府弘子初の日本向けとなるベスト盤『MOMENTS』(以下『モーメンツ』)。

( 注:国府弘子は海外進出のため1996年に,同じアルバム・タイトルにして内容は別物のUS向けベスト盤『MOMENTS』をリリース済です )

 『モーメンツ』は,これまた通常のベスト盤とは異なる,バラードベストなのが気になる部分だが,未発表曲が3曲もあるという理由付けですぐさま購入。
 正しくベスト盤『モーメンツ』とは“国府ワールド”が生み出されてきた一瞬一瞬の『MOMENTS』。素晴らしい。

 フュージョンっぽい展開が顔をのぞかせるバラード・ナンバーの中にあって,しっとりと雄大なドラマを見せられている気分に“うっとり”浸れます。
 国府弘子アコースティックピアノだけを演奏しているのだが,実際にピアノの音から出て来るのは色彩豊かなピアノオーケストラ
 ピアノを引き立てるバックのシンセサイザーが効果的に流れているので,聴き所となる美メロの波長がダイレクトに飛び込んでくる。

 さて,当分は『モーメンツ』で満足していた管理人だが,やっぱり国府弘子の本質は「生粋のジャズメン」にある。
 【スムーズ・ストラッティン】や【ゴーイング・ゴーイング・オン】のようなエネルギッシュで超カッコイイ演奏ももっと聴いてみたい。そんな「静から動」への好転反応を目論んでいたとしたならばJVCに,まんまとやられてしまいましたな。

MOMENTS-2 『モーメンツ』とは,そんな国府弘子・ファンとしての欲求のマグマが押し上げられるかのようなバラードベストだと思う。
 もっともそんな衝動を一番感じたのは当の国府弘子本人だと思う。国府弘子さん,バイタリティに富んだ本当のあなたを聴いて欲しいですよね?
 だ・か・ら・管理人は国府弘子初心者の皆さんには『ウェルカム・ホーム 〜国府弘子 ベスト&モア〜』から入ることをお奨めいたします。

 管理人の結論。『モーメンツ批評

 だ・か・ら・2・『モーメンツ』は回り回って,未発表曲3曲を聴くためのバラードベスト。“弘子節”が生み出されてきた一瞬一瞬の『MOMENTS』が素晴らしい。

  01. Horizon
  02. In Your Arms
  03. Essence
  04. Somewhere In Time
  05. Etude
  06. Over The Sevem Seas
  07. Gone...
  08. Sunset Beach
  09. Playing Love (from "The Legend Of 1900")
  10. Lady Moonlight
  11. Once And Forever
  12. Happiest You (For Your Wedding)
  13. Apres L'amour (Missing You)
  14. Night In Capri
  15. Calling You

(ビクター/JVC 2000年発売/VICJ-60554)
(ライナーノーツ/国府弘子)

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デューク・ピアソン / ハニーバンズ5

HONEYBUNS-1 『HONEYBUNS』(以下『ハニーバンズ』)は「デューク・ピアソン・ノネット」名義。デューク・ピアソンをリーダーとする9人編成による6管オーケストラ。中型のコンボと呼んで良いだろう。

 3管ハード・バップの『WAHOO』で芽生えていたデューク・ピアソンの「オーケストレーションの才能」が花開いている。
 『ハニーバンズ』が“ポップなジャズ・ロック調”だからなのだろう。「デューク・ピアソン・ノネット」を聴いていると「サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラ」のイメージと被る瞬間がある。

 そう。「デューク・ピアソン・ノネット」の真髄とはデューク・ピアソンのリハーサル・オーケストラ。デューク・ピアソンとその仲間たちが,思う存分,自分たちで楽しむために集まったジャズ・オーケストラ
 デューク・ピアソン印でスマートにアレンジ演奏された,ファンキーで楽しい演奏がレコーディングされたのはアトランティック・ジャズの実験作=3002番の巡り会わせだったから!

 すなわち『ハニーバンズ』の録音メンバーは,ピアノデューク・ピアソントランペットジョニー・コールズアルトサックスジェームス・スポールディングテナーサックスジョージ・コールマンバリトンサックスペッパー・アダムストロンボーンガーネット・ブラウンフルートレス・スパンベースボブ・クランショウドラムミッキー・ローカーの9名なのだが,本当はここにブルーノート専属ゆえ参加できなかったドナルド・バードハンク・モブレイジャッキー・マクリーンジョー・ヘンダーソン辺りも加わったイメージで「聴いて楽しめる」のがデューク・ピアソンのリハーサル・オーケストラ!

 先に『ハニーバンズ』について“ポップなジャズ・ロック調”と書いてみたが『ハニーバンズ』は,ジャズ・ロックの仮面の裏でデューク・ピアソンと仲間たちが“遊んでいる”のは「新しいモード・ジャズ」である。

 同じ音のメロディーに対してコードが半音ずつ下降する複雑なモチーフが転調しながら繰り返される。このように文章にすると小難しく感じるかもしれないが,実際に音として聴いてみると6管がスインギーに“ねちっこいハーモニー”していて新鮮に響いている。2017年の耳にも新鮮なリリカルが響く。
 やっぱりデューク・ピアソンのハイセンスは凄かった!

HONEYBUNS-2 管理人の結論。『ハニーバンズ批評

 『ハニーバンズ』は『WAHOO』でレコーディングのリハーサルを終えたデューク・ピアソンのリハーサル・オーケストラによる本番セッション。

 「デューク・ピアソン・ノネット」の“夜な夜なの音遊び”は,毎回毎回凄かった。1回1回の演奏が『ハニーバンズ2』『ハニーバンズ3』だったと想像する。

  01. HONEYBUNS
  02. NEW GIRL
  03. YOU KNOW I CARE
  04. IS THAT SO
  05. OUR LOVE
  06. HEAVY LEGS

(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1966年発売/WPCR-27121)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,後藤誠)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1985年度(第19回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1985年度(第19回)の発表です。

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ライブ・アット・スイート・ベイジル★【金賞】.ライブ・アット・スイート・ベイジル
アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ


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アウト・オブ・ザ・ブルー★【銀賞】.アウト・オブ・ザ・ブルー
OTB


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枯葉★【最優秀CD賞】.枯葉
マンハッタン・ジャズ・クインテット


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Vocalese★【ボーカル賞】.ボーカリーズ
マンハッタン・トランスファー


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ラウンド・ミッドナイト★【日本ジャズ賞】.ラウンド・ミッドナイト
宮沢昭


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グルーヴィー★【編集企画賞】.プレスティッジ&リバーサイド・CD・マスターピース・シリーズ [全30作]


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プレリュードとフーガ Vol.1★【制作企画賞】.プレリュードとフーガ
ジョン・ルイス


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ザ・サード・ディケイド★【最優秀録音賞 LP】.ザ・サード・ディケイド
アート・アンサンブル・オブ・シカゴ


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スポーティン・ライフ★【最優秀録音賞】.スポーティン・ライフ
 ウェザー・リポート


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 新生ブルーノートの“旗印”となる若手6人組のオーディション・バンド=OTBの『アウト・オブ・ザ・ブルー』が【銀賞】受賞。

 OTB,そして『OUT OF THE BLUE』とは「ブルー(従来のブルーノート)から外れていく」というレーベルの願いが込められた,マイケル・カスクーナ“肝入り”の新プロジュクトで,結成当初はメンバーを入れ替えながらグループとしては存続し続けるという,モーニング娘。やAKBの先がけのようなレーベル・バンドとして一世を風靡したことを鮮烈に覚えている。

 OTBのメンバーは,トランペットマイケル・モスマンアルトサックスケニー・ギャレットテナーサックスラルフ・ボーエンピアノハリー・ピケンズベースボブ・ハーストドラムラルフ・ピーターソン

 果たして,振り返れば今でもジャズ・シーンの最前線にいるのはケニー・ギャレットボブ・ハーストの2名のみ。ジャズとはそれくらいに厳しい音楽ということであろう。

 しかし『OUT OF THE BLUE』発売当時のOTBには,他とは違う桁外れのパワーを感じていたものだ。
 『OUT OF THE BLUE』という言葉には,もう一つ「青天の霹靂」という意味もある。新進気鋭の若手ジャズメン6人による「予想もしなかったような事件や変動」の心意気を読者の皆さんにも感じてほしい。

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デューク・ピアソン / ワフー4

WAHOO-1 『WAHOO』(以下『ワフー』)=『和風』である。これはダジャレでも,もっと言えば『YAHOO』でもない。

 管理人は『ワフー』を聴く度に,自分がなぜにそこまでデューク・ピアソンが大好きなのか,その理由を再確認させられてしまう。
 ズバリ,タイトル・トラック【WAHOO】はデューク・ピアソン版の【リンゴ追分】だと言い切ってしまおう。

 デューク・ピアソンを語る際,デューク・ピアソンが持つ「異国情緒」は外せないのだが,特にデューク・ピアソンは他の外国人ジャズメン以上に日本人的である。
 デューク・ピアソンの楽曲に,雅楽とか三味線が登場してもおかしくない。あるいは演歌が登場してもおかしくない。そんな日本人的なメロディー・ラインに惚れてしまうのだと自己分析している。

 後の「デューク・ピアソンビッグ・バンド」の出発点となる『ワフー』が織りなす3管ハード・バップが,日本の歌番組で歌謡曲を演奏するビッグ・バンド和風』に聴こえてしまう。
 この意見に同意する人は少ないのかもしれないが,偶然,この『ワフー批評を目にした方は,そんな視点で聴いてみてほしい。一度そう思ってしまうとそのように聴こえると思うから…。その方が後々幸福だと思うから…。

( 個人的には「デューク・ピアソンビッグ・バンド」を「NEW HERD」だと思いたい! ただし,デューク・ピアソンは,こればかりではなく正統派のジャズも生涯続けた「二刀流」「三刀流」のハイセンス・マルチ・ミュージシャンの筆頭格。聴けば聴くほど素晴らしい才能にメロメロきます )

 まっ,そういうことで『PROFILE』『TENDER FEELIN’S』と“ジャズ・ピアニスト”としてブルーノートで活動してきたデューク・ピアソンだったが『ワフー』以降は“プレイング・マネージャー”として,アレンジャーやプロデューサーの視点で,非アメリカ的なブルーノートジャズを創造していくことになる。

 興味深いのは,デューク・ピアソンと同時期のブルーノートというレコード会社は,ハービー・ハンコックウェイン・ショーターに代表される「新主流派」のリリース・ラッシュ。
 それなのに,デューク・ピアソンの思うがままに『和風』3管ハード・バップを作らせたアルフレッド・ライオンデューク・ピアソンに対する信頼とは如何許りであろうか?

WAHOO-2 さて,ここまで書いてきてあれなのたが,個人的には『ワフー』は,デューク・ピアソン名盤群からはワンランク落ちる。理由は全体のトーンが落ち着いて重い。
 『ワフー』で,グッと来るのは【FAREWELL MACHELLE】【WAHOO】の2トラックのみ。

 これは『ワフー』の制作を許したブルーノートアルフレッド・ライオンにとっての悲しいお知らせであるが『ワフー』でデューク・ピアソンが取り組んだ“管を鳴らす”アイディアが音楽として完成したのは,後の『INTRODUCING DUKE PEASON’S BIG BAND』ではなく,アトランティック・ジャズからリリースされた『HONEYBUNS』と『PRAIRIE DOG』の方である。

 しかし,そうではあってもデューク・ピアソン・フリークにとって『ワフー』の重要性はやっぱり外せない。
 ドナルド・バードトランペットジェームス・スポールディングアルトサックスジョー・ヘンダーソンテナーサックスを3管アンサンブルとしてではなく,美空ひばりばりのソウルフルなソロイストとしても起用したデューク・ピアソンのハイセンスな音楽眼は聴き逃せない。

  01. AMANDA
  02. BEDOUIN
  03. FAREWELL MACHELLE
  04. WAHOO
  05. ESP(EXTRASENSORY PERCEPTION)
  06. FLY LITTLE BIRD FLY

(ブルーノート/BLUE NOTE 1965年発売/TOCJ-4191)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,上条直之,福山誠)

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