アドリブログ 〜JAZZ/FUSION批評〜

ジャズ/フュージョン批評ブログ ALBUM REVIEW, TRACK REVIEW and more

e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / ヴァイアティカム+ライヴ5

VIATICUM + LIVE IN BERLIN-1 「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の“最高傑作”『VIATICUM』に『LIVE IN BERLIN』をカップリングして新たに再発?されたのが『VIATICUMLIVE IN BERLIN』(以下『ヴァイアティカム+ライヴ』)である。

 『VIATICUM』が素晴らしいのは言うまでもない。そんな大名盤に「e.s.t.」絶頂期のライブ盤がカップリングされたのだから,これ以上何を望めよう。
 管理人は『ヴァイアティカム+ライヴ』リリースの意味とは「e.s.t.」のファン向けという以上に,エスビョルン・スヴェンソン亡き後,喪失感を覚えていたダン・ベルグルンドマグヌス・オストラムを慰めるため,そして2人へ再始動を促すための企画ものだと思っている。

 そんな企画ものの性質上『VIATICUM』については『ヴァイアティカム批評を参照していただくとして,ここでは『LIVE IN BERLIN批評についてのみ記すこととする。

 『LIVE IN BERLIN』を聴いて,まず痛感したのは「e.s.t.」は3ピースのバンドだったという事実だ。
 個人的に「e.s.t.」がバンド・サウンドを前面に押し出してきたのは『SEVEN DAYS OF FALLING』からだと思っているが『LIVE IN BERLIN』の壮絶なライブを聴き終えて,改めて「e.s.t.」が「3つの肉体,6本の腕,1つの頭脳」と称される理由を鑑みる気分がした

 これは『LIVE IN BERLIN』が,キース・ジャレットトリオと同じ,ピアノ・トリオライブ盤だから余計に感じるのだろうが,個性の強い3人のせめぎ合いで芸術性をぐいぐいと高みに持っていこうとするキース・ジャレットに対し,エスビョルン・スヴェンソンは個人の個性以上にバンドとしての個性を追及している。

 「e.s.t.」にあって他のピアノ・トリオに無いもの。それはそれぞれの曲に対し,バンドとしてどうプレイするか,それがメンバー間で合意形成できている点にある。
 その“暗黙の了解”とか“阿吽の呼吸”が蜜だからこそ,アドリブの自由度が高い。毎回の演奏が予定調和で終わらない。いつでもリラックスと緊張感が程よく保たれているように聴こえる。

 その意味で『LIVE IN BERLIN』は,普段と何ら変わらない「e.s.t.」の1回のライブの記録のように思う。
 そう。『LIVE IN BERLIN』は,格段に素晴らしい決定的なライブではない。収録曲4曲,演奏時間も40分。どちらかと言えば単体でリリースしようにもできない「帯に短したすきに長し」的な音源集であって,オフィシャル海賊盤チックなライブ盤だと思っている。

 そんな記録用音源=『LIVE IN BERLIN』でもヤラレテしまうのだから,逆に「e.s.t.」の物凄さが際立っている。
 三者三様,自由な音選びでありながら,このうちの一人でも欠けたら「e.s.t.」の音世界は絶対に存在しなくなる。3つの異なる個性が1つでも2でも,そして3つでも確実にフィットする信頼感とコンビネーションが根底にある。互いに互いの音を聴き,次の音選びを予想することができるのだろう。

VIATICUM + LIVE IN BERLIN-2 ライブのハイライトとはハプニングである。曲が進行する過程で全く新しい曲へと変化していく。『LIVE IN BERLIN』がそのことを証明してくれている。
 だからエスビョルン・スヴェンソンが亡くなった時,ダン・ベルグルンドマグヌス・オストラムにとってメンバー・チェンジなど考えられなかったのだろう。

 エスビョルン・スヴェンソン亡き今「e.s.t.」は完全終了である。『ヴァイアティカム+ライヴ』で「e.s.t.」は完全終了した。

 『ヴァイアティカム+ライヴ』の真実とは「傷心のダン・ベルグルンドマグヌス・オストラムに捧ぐ」なのだと思う。

  Disc 1:Viaticum
  01. Tide Of Trepidation
  02. Eighty-eight Days In My Veins
  03. The Well-wisher
  04. The Unstable Table & The Infamous Fable
  05. Viaticum
  06. In The Tail Of Her Eye
  07. Letter From The Leviathan
  08. A Picture Of Doris Travelling With Boris
  09. What Though The Way May Be Long

  Disc 2:live in Berlin
  01. A Picture Of Doris Travelling With Boris
  02. In The Tail Of Her Eye
  03. The Unstable Table & The Infamous Fable
  04. The Rube Thing
  05. All The Beauty She Left Behind

(ビデオアーツ/ACT 2008年発売/VACG-1003/4)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/廣瀬大輔)

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伊東 たけし / ヴィジョンズ4

VISIONS-1 『VISIONS』(以下『ヴィジョンズ』)は,伊東たけしT−スクェア退団後のソロ第一弾アルバム。

 伊東たけしが本当にやりたかった音楽。その答えが『ヴィジョンズ』にたっぷりと詰まっているはず。
 そう思って聴き込んだ『ヴィジョンズ』の印象は,まさかのフィリップ・セスであった。伊東たけし安藤まさひろの腕から離れフィリップ・セスに抱かれている。

 『ヴィジョンズ』でスクェア・カラーが消された理由は伊東たけしサックスの“先鋭的な鳴り”にある。
 明るく爽やかな“T−スクェアのフロントマン”としての伊東たけしは『ヴィジョンズ』の中にはもはやいない。『ヴィジョンズ』の中にいるのは“HIPでCOOLな”ハイテンション・サックス・プレイヤー。再デビューしたかのような振り幅である。

 では『ヴィジョンズ』は駄盤なのかというとそうではない。『ヴィジョンズ』の最先端NYサウンドを駆け巡る,伊東たけしアルトサックスが相当にカッコ良い。
 アメリカ進出と言う目的でリリースされたスクェアの『WAVE』。その中の【BIG CITY】で痺れたあの感じが押し寄せてくる。

 スクェア・ファンであればあるほど,激変した伊東たけしばかりが耳に付くことと思うが,伊東たけしが目指した『WAVE』の夢の続きは,山下達郎と共演した【BLOW(N.Y.VERSION)】と『NATURAL』収録【HAPPY SONG】の聴き慣れたセルフ・カヴァーにこそ如実に表現されていると思う。

VISIONS-2 伊東たけしの中のアメリカとはLAのラス・フリーマンではなくNYのフィリップ・セスだったのだろう。でもよくよく聴くとフィリップ・セスではなく住友紀人だったりもする。

 伊東たけしとしてはオールド・セルマーへと音色も変えて,サックス一本で勝負していくためのEWIプレイヤー=住友紀人の起用だったと思うが,同じEWIプレイヤーだから分かった住友紀人のNYな才能に徐々に惹かれていくこととなる…。

 「影武者」住友紀人の覚醒は『ヴィジョンズ』におけるフィリップ・セスの音楽眼! 分かるかなぁ〜。

  01. MARBLES
  02. CORE ZONE
  03. VISION
  04. GAIYA
  05. BLOW (N.Y. VERSION)
  06. HAPPY SONG
  07. IN THE DISTANCE
  08. MANKALA

(アトランティック/MMG ATLANTIC 1992年発売/AMCM-4135)

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e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / ルーコサイト4

LEUCOCYTE-1 「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」最高の実験作にして最大の問題作,改め「冒険作」が『LEUCOCYTE』(以下『ルーコサイト』)である。

 『ルーコサイト』をどう評価するか? それは『ルーコサイト』の次なくしては評価できないように思う。
 ただし,結果的に『ルーコサイト』の次は永遠に聴けなくなってしまった。『ルーコサイト』はエスビョルン・スヴェンソンの遺作である。『ルーコサイト』で「e.s.t.」はジ・エンド。

 確かに『ルーコサイト』が「e.s.t.」の最終作であるのだが,それは結果的に,意図せず最終作になってしまっただけのことで『ルーコサイト』制作時のエスビョルン・スヴェンソンは「e.s.t.」の未来しか見据えていなかった。
 もっと言えば『ルーコサイト』制作時のエスビョルン・スヴェンソンは「e.s.t.」の過去と現在などなかったかのように演奏している。

 そう。『ルーコサイト』には,マイルス・デイビスmそれも“電化マイルス”が放つ「クラッシュ&ビルド」の精神が宿っている。
 おおっと「e.s.t.」の紹介として,キース・ジャレットパット・メセニーマイルス・デイビスの名を挙げているが,これは管理人からのエスビョルン・スヴェンソンに対するリスペクトであって,断じてエスビョルン・スヴェンソンは唯一無二の存在である。「e.s.t.」は独自のオリジナリティを持ったジャズ・バンドである。そこのとこ読み間違えませんように。

 “電化マイルス”の1枚として批評したくなる『ルーコサイト』の野心的なサウンドは,もはやジャズではなく,ポスト・ロックとかミニマル・ミュージックの様相を呈している。
 ズバリ「e.s.t.」が『ルーコサイト』で新しく取り入れたサウンド・エフェクトは“ノイズ”である。当然,単なるノイズではない。これは
,繊細かつエモーショナルなノイズである。そして今を感じさせてくれるノイズである。なんて残酷で,そして美しいノイズ音楽なのだろう。

 飛び交うノイズにエフェクトが分厚くかかっている。どう転んでもジャズとは思えないビートに,時折かぶさる不穏でありながらうっとりするほど繊細なピアノ
 ジャズ・ピアノを思い描くと到底聴ける代物ではないが『ルーコサイト』の美しさは「条件付き」で紛れもない本物である。

 その「条件付き」とはノイズ・ベースで聴けるかどうか? かつてパット・メセニーが『ZERO TOLERANCE FOR SILENCE』で作ったノイズ・サウンドがメセニー・ミュージックの試金石となったのと同じように…。
 ノイズの嵐の中で,ピアノエスビョルン・スヴェンソンベースダン・ベルグルンドドラムマグヌス・オストラムが互いの音を探り合っている様を聴き分けられるかどうかが「e.s.t.」ファンの,そしてノイズ・マニアとしての試金石…。

 1曲目こそエフェクトなしのアコースティック・ピアノ小品になっているが,2曲目からはピアノにディストーションとエコーをかけ,エフェクト/電子音の重要度比率を意図的に上げてきていることが判る。4曲目なんて,正統ジャズに回帰したかと思ったら,逆で電子音だらけのかなり先鋭的なトラック仕上げ…。
 全編エスカレートしていく「変態御用達ノイズ」。『ルーコサイト』は純粋な音楽などではなく,先の『ZERO TOLERANCE FOR SILENCE』と同様に「音響作品」として捉えるべきであろう。

LEUCOCYTE-2 つまりは「e.s.t.」のファンだからではなく「変態御用達ノイズ」を心から愛せるかどうかで『ルーコサイト』の評価は一変する。
 その意味で『ルーコサイト』の管理人の評価は星4つである。中盤までは星6つ気分でノリノリで聴いていたのだが,最後まで過剰なサイケを展開されたら多少ゲンナリ。

 正直,超攻撃型「e.s.t.」の新サウンドに,せめてもう1曲ぐらいは従来のヨーロピアンジャズ・ピアノ・テイストが聴きたくなる。従来の「e.s.t.」が,従来のジャズが,そして従来の音楽が聴きたくなる。

 『SEVEN DAYS OF FALLING』→『VIATICUM』→『TUESDAY WONDERLAND』でのスタイル・チェンジは確かに衝撃的であったが,ある意味「想定の範囲内」で受け入れることが出来た。
 しかし,今回の『ルーコサイト』は「想定外」である。まさかの「変態御用達ノイズ」アルバムの登場である。

 『ルーコサイト』は「e.s.t.」最高の実験作にして最大の問題作というよりも「冒険作」と呼ぶべきであろう。

  01. DECADE
  02. PREMONITION - EARTH
  03. PREMONITION - CONTORTED
  04. JAZZ
  05. STILL
  06. AJAR
  07. LEUCOCYTE - AB INITIO
  08. LEUCOCYTE - AD INTERIM
  09. LEUCOCYTE - AD MORTEM
  10. LEUCOCYTE - AD INFINITUM

(エマーシー/EMARCY 2008年発売/UCCM-1159)
(ライナーノーツ/佐藤英輔)

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スイングジャーナル主催 ジャズ・ディスク大賞 1993年度(第27回)

 「スイングジャーナル」誌が,レコード会社各社の自薦ノミネート作品を基にして,国内で該当年度中に発売されたCDLPビデオを対象に同誌委託の「ジャズ・ディスク大賞選考委員」によって選出される,日本ジャズ界に最も貢献した作品に贈られる「ジャズ・ディスク大賞」。

 今回は1993年度(第27回)の発表です。

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ラプソディア★【金賞】.ラプソディア
ゴンサロ・ルバルカバ


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バイ・バイ・ブラックバード★【銀賞】.バイ・バイ・ブラックバード
キース・ジャレット


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ブルー・ライト・ティル・ダウン★【ボーカル賞】.ブルー・ライト・ティル・ダウン
カサンドラ・ウィルソン


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スタンダーズ・マイ・ウェイ★【日本ボーカル賞】.スタンダーズ・マイ・ウェイ
伊藤君子


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MAJOR TO MINOR★【日本ジャズ賞】.メイジャー・トゥ・マイナー
峰厚介


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ヒア・アイ・アム★【日本ジャズ賞】.WOW
大西順子


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ストレイト・トゥ・ザ・スタンダード★【制作企画賞】.ミュージック・オブ・ギル・エバンス
マンデイ・ナイト・オーケストラ・ライブ・アット・スイート・ベイジル

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デュークへの想い★【録音賞(海外)】.デュークへの想い
 デイブ・グルーシン


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ブルースエット・パート2(紙ジャケット仕様)★【録音賞(国内)】.ブルースエット・パートII
カーティス・フラー


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マイルス・アヘッド [Laser Disc]★【最優秀ビデオ賞】.マイルス・アヘッド
 マイルス・デイビス


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 キース・ジャレットの『バイ・バイ・ブラックバード』が【銀賞】受賞。

 『バイ・バイ・ブラックバード』はマイルス・デイビス他界2週間後に吹き込まれたキース・ジャレットが捧げたマイルス・デイビスへの追悼盤。しかもキース・ジャレットトリオとしてはレアものとなるスタジオ盤。

 しかし,なんだろう。悪くはないが『バイ・バイ・ブラックバード』でのキース・ジャレットの演奏には共感できないし,いつものようにどっぷりとハマルことができない。演奏が薄いのだ。

 薄い理由は1つに選曲が不明瞭。マイルス・デイビスを直接連想させる愛奏曲がない。もう1つはキース・ジャレットが思うほど,ゲイリー・ピーコックジャック・デジョネットマイルス・デイビスの死を悼んでいたのだろうか?

 まっ,キース・ジャレットの大名盤群からすると下の評価となる『バイ・バイ・ブラックバード』であるが,それでも他のピアノ・トリオからすると名盤として評価されるのだろう。
 負け惜しみではなく【銀賞】がちょうどいいのである。

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e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ) / ライヴ・イン・ハンブルク5

LIVE IN HAMBURG-1 「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の2枚の公式ライブ盤のお話。
 『E.S.T. LIVE』が『TRAVELS』なら『LIVE IN HAMBURG』(以下『ライヴ・イン・ハンブルク』)は『THE ROAD TO YOU − RECORDED LIVE IN EUROPE』である。

 おおっと「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)批評に,突然,パット・メセニーの名前が登場してきたが,今まで書かなかったことをお詫びする。
 「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」を絶賛してきたのは管理人の“フェイバリットキース・ジャレットだけではない。管理人もう1人の“フェイバリットパット・メセニーも「e.s.t.」を絶賛し,実際に共演し,DVDまでリリースしている。

 そもそも「先進的音楽の求道者」としてエスビョルン・スヴェンソンパット・メセニーに共通点を感じていたが「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」と「パット・メセニーグループPMG)」が,目指す方向性においても表現する手法においても,ついに『ライヴ・イン・ハンブルク』でシンクロしたように思う。

 『ライヴ・イン・ハンブルク』とは『TUESDAY WONDERLAND』のフォロー・ツアーライブ盤なのだが,偶然にも元ネタである『TUESDAY WONDERLAND』のCD帯にはパット・メセニーからの「過去15年間で見たバンドで一番エキサイティングだ」との推薦文が載せられている。

 これって偶然ではない。数年前からエスビョルン・スヴェンソンとすでにシンクロしていたパット・メセニー。そのパット・メセニーの体験が『TUESDAY WONDERLAND』でのエキサイティングなツアーを予見した。
 そしてその推薦文はそのまま『ライヴ・イン・ハンブルク』に当てはまると思う。

 そう。パット・メセニーは『TUESDAY WONDERLAND』の「e.s.t.」に『THE ROAD TO YOU − RECORDED LIVE IN EUROPE』当時の「PMG」を思い重ねていたように思う。パット・メセニー最大のイケイケの絶頂期で,創造性が漲り,何を演っても上手くゆく。大観衆が熱狂する。
 『THE ROAD TO YOU − RECORDED LIVE IN EUROPE』はヨーロッパ・ツアー。「e.s.t.」はヨーロッピアン・ジャズ

 個人的に大好きなのはECMの美しいパット・メセニー。“最高傑作”はノンサッチの『THE WAY UP』のパット・メセニー
 でっ,超人気盤揃いの「ゲフィンは下品」なのだが,あの下品さが“青春のパット・メセニー”に違いない。聴いていて楽しい。

 だ・か・ら『E.S.T. LIVE』が『TRAVELS』。『LIVE IN HAMBURG』が『THE ROAD TO YOU − RECORDED LIVE IN EUROPE』って訳なのだ。
 【DOLORES IN A SHOESTAND】が【BETTER DAYS AHEAD】に対応し【GOLDWRAP】が【THIRD WIND】に対応するのも『LIVE IN HAMBURG』が『THE ROAD TO YOU − RECORDED LIVE IN EUROPE』って訳なのだ。

LIVE IN HAMBURG-2 それにしても『TUESDAY WONDERLAND』と『ライヴ・イン・ハンブルク』では,同じ曲が演奏されているのに印象がかなり異なっている。
 スタジオ盤では陰陽で言えば「陰」の部分が出ているが,ライブ盤では観客の盛り上がりと共に「陽」の部分が光り輝きCD以上の楽曲へと昇華させている。素晴らしい。

 お得意の「電化ジャズ」も増し増しの盛り盛りで,ヘッドフォンで電子音を追い続けているとあっちの世界へ連れ去られそうに感じてしまう。最高のテクノ・ポップである。スタジオ盤とは異なるベクトルの莫大なエネルギーが流れている。
 本来,ピアノエスビョルン・スヴェンソンベースダン・ベルグルンドドラムマグヌス・オストラムは“超絶技巧”のジャズメン。「内ではなく外へ向けられた」超一流のアドリブが最高に素晴らしい。

 『ライヴ・イン・ハンブルク』で,かつてのパット・メセニーがそうだったように「e.s.t.」も“ベーシックなジャズ”の枠を超えてしまった。
 エスビョルン・スヴェンソンは死んで“伝説”となったわけではない。エスビョルン・スヴェンソンは『ライヴ・イン・ハンブルク』で“生きる伝説”となっていたのだった。

 って,すみません。真面目に批評してしまいました。『ライヴ・イン・ハンブルク』は熱く語るアルバムではありませんでした。
 理性を忘れてエキサイティングな演奏にただただ酔いしれるだけ〜。エンターテイメント〜。

  CD1
  01. tuesday wonderland
  02. the rube thing
  03. where we used to live
  04. 800 streets by feet
  05. definition of a dog

  CD2
  01. the goldhearted miner
  02. dolores in a shoestand
  03. sipping on the solid ground
  04. goldwrap
  05. behind the yashmak

(ユニバーサル・ジャズ/UNIVERSAL JAZZ 2007年発売/UCCM-1139/40)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/ジョー・ヒールシャー,ダン,カーステン・ヤンケ,マグヌス,エスビョルン,オキ)

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渡辺 貞夫 / スウィート・ディール4

SWEET DEAL-1 『SWEET DEAL』(以下『スウィート・ディール』)は,LAの3つのスーパー・フュージョン・グループ,ラッセル・フェランテ率いるイエロー・ジャケッツカルロス・ベガ率いるカリズマ,そしてエイブラハム・ラボリエル率いるコイノニアの各メンバーによる混成セッション・アルバムである。

 つまりは「ナベサダフュージョン,ここに極まりけり!」な豪華絢爛な1枚なのであるが,実際に聴いた『スウィート・ディール』の印象はかなりフュージョンからかなり離れて“ジャズっぽい”。

 『スウィート・ディール』録音の時点で,すでにコイノニアは活動を休止し,イエロー・ジャケッツも突然変異なジャズ・ユニットと化していたのだから『スウィート・ディール』が“ジャズっぽい”のも理解できる。管理人はそう思って楽しんでいた。

 『スウィート・ディール』はジャズフュージョンが見事に融合した『フロントシート』の続編に当たる。
しかし『スウィート・ディール』の真実とは『フロントシート』の続編にして『ア・ナイト・ウィズ・ストリングス』の前作にも当たる。

 『ア・ナイト・ウィズ・ストリングス』を聴き終えて「あっ,これだったんだ」と思った経験がある。『ア・ナイト・ウィズ・ストリングス』の中に『スウィート・ディール』のモチーフが残されている。
 『スウィート・ディール』〜『ア・ナイト・ウィズ・ストリングス』へと流れる「ゴキゲン・フュージョンなのに“ジャズっぽい”」アンサンブルのキーマン。それがピーター・アースキンの存在にある。

 ジャズフュージョンの両方で大活躍+ビッグ・バンドとスモール・コンボの両方で大活躍な,ソロ以上に全体のアンサンブルに気を配る“JAZZYな”ドラマーピーター・アースキン“その人”なのであった。

 『スウィート・ディール』のハイライトは【EARLY SPRING】と【CYCLING】である。
 “先頭でリードしつつ後方からも見守っている”ピーター・アースキンドラミングが素晴らしい。そこにジョン・パティトゥッチである。全てはラッセル・フェランテのハイセンスなのである。

SWEET DEAL-2 管理人の結論。『スウィート・ディール批評

 3人のプロデューサーによる『スウィート・ディール』のサウンドメイクは文句のつけようがない。ジャズの良さとフュージョンの良さが高次元で融合した名盤である。

 ただし,本来そこにメインであるはずの渡辺貞夫アルト・サックスがわずかに一歩だけ引っ込んでいる。もしやナベサダ自身が極上のバック・サウンドに惚れ込み,バックの名演をファンのみんなにも聴かせたかったのかなぁ。

  01. Passing By
  02. Sweet Deal
  03. Early Spring
  04. After Goodbye
  05. With The Wind
  06. Catch Me In The Sun
  07. Old Photograph
  08. As You Say
  09. Only Love
  10. Blue On Green
  11. Masai Talk
  12. Cycling

(エレクトラ/ELEKTRA 1991年発売/WPCP-4400)

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