2008年05月11日

Saya / TIMELESS / TIMELESS4


 『TIMELESS』の13曲目は【TIMELESS】(以下【タイムレス】)。


 時間を忘れて【タイムレス】。時代を超えて【タイムレス】。
 争いを忘れ,国境を越え肌の色を越え人種を越え言語を越え,大空へと響き渡る「祈り」にも似たピアノの音色…。Saya

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

SAYA : Piano


2008年05月08日

キース・ジャレット / アート・オブ・インプロヴィゼーション〜キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー4


 『THE ART OF IMPROVISATION』(以下『アート・オブ・インプロヴィゼーション〜キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』は“生けるアドリブ芸術”キース・ジャレット初にして(恐らく)最後のドキュメンタリーDVDである。
 正直,管理人は,この内容には満足していない。『アート・オブ・インプロヴィゼーション〜キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』は,断片的資料を継ぎ接ぎしたドキュメンタリーなので,キース・ジャレット特有の“一貫したストーリー性”が欠如している。そう。『アート・オブ・インプロヴィゼーション〜キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』は,ジャズ・ピアニストキース・ジャレット“歴史資料集”なのであって,感動ものではない。

 しかし『アート・オブ・インプロヴィゼーション〜キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』は,キース・ファンにとっては“かけがえのない夢のような宝物”である。内容不足を補って余りある“貴重品”なのである。
 管理人はこのDVDの完成を創造の神に感謝している。加えて,キース・ジャレットの「心の鍵」を開けてくれた,真摯なスタッフの努力に感謝している。このDVDには“人間”キース・ジャレットのありのままの姿が記録されているからだ。

 キース・ジャレットは,決して妥協を許さない,完璧主義者の芸術家である。だからこそ“前人未踏”の偉大な仕事を数多く成し遂げてきた。そんなキース・ジャレットのポリシーの一つが「プロモーションのためには決して演奏しない」こと。そう。キース・ジャレットというジャズメンは,決してお金では動かない。いや,動けない人なのである。
 過去において『アート・オブ・インプロヴィゼーション〜キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』と同様のフィルム企画が多数持ち込まれていたそうだが,その全てをキース・ジャレットは断わってきた。彼の信念がそれを許さなかった。そう。キース・ジャレットは「その仕事を真にやるべき価値があり,その仕事の完成を共に喜びあえる仲間とでなければ」決して仕事をしないのである。
 それゆえ,とにもかくにも,一本のドキュメンタリー作品が完成し,手元に存在しているこの事実に心から感謝している。あの気難しいキース・ジャレットからの信頼を勝ち得,出演交渉で“くどき落とす”ことなど,女優に濡れ場を演じさせること以上に困難極まりなかったに違いない。スタッフが費やした多くの時間と労力に感謝するばかりである。

 さて,そんな誠実なスタッフたちの努力の結晶である『アート・オブ・インプロヴィゼーション〜キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』は,日独英共同制作。3カ国所有の“お宝映像”が多面的に編集されている。貴重な映像資料群ゆえ(本論の流れを無視し)詰め込み過ぎた印象が残る。まぁ,散漫になるのは致し方のないことなのだろう。
 それよりも管理人の目に留まったのは,時系列を無視した編集にある。チャールス・ロイド・カルテットマイルス・デイビス・グループと来れば,次はソロ・ピアノか,アメリカン・カルテットなのであろうが,ヨーロピアンクラシック〜『スピリッツ』が先に来たので,ヤン・ガルバレクよりデューイ・レッドマンの方が印象に残ってしまった。おかげで『アート・オブ・インプロヴィゼーション〜キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』を見終わった瞬間から,アメリカン・カルテット,とりわけローズアンのハートを射止めた『フォート・ヤウ』のヘビー・ローテーションが始まっています。はい。

 ここまで『アート・オブ・インプロヴィゼーション〜キース・ジャレット・ザ・ドキュメンタリー』の内容不足について毒づいてしまったが,唯一,慢性疲労症候群と闘っていた時のエピソードは真に感動的である。
 “生けるアドリブ芸術”キース・ジャレットは,健康を犠牲にしてまで音楽の創造に没頭してきた。その代償として支払われたのが「身体をエイリアンに乗っ取られた」と語った慢性疲労症候群による衰弱。ピアノも見れない。蓋を開ける力もない。3分以上は話しさえできない。そんなどん底のキース・ジャレットを,家族や友人みんなで慰め,励まし続けたのだ。
 そんな闘病生活の末,産み落とされた傑作が『メロディ・アット・ナイト,ウィズ・ユー』。ローズアンへのクリスマス・プレゼントである『メロディ・アット・ナイト,ウィズ・ユー』は,わずか1,2分しか演奏できない状態の中でのソロ・ピアノである。プレゼント用DATにはリボンがかけられていたそうであるが,回想しつつも感動で言葉が詰まるローズアンへのインタビューには心を打たれた。
 「病気は教師。今は作曲活動は行なっていない。演奏できるのは奇跡。演奏以外の形で音楽に関わるのは違うと思った。演奏できる奇跡だけでいい」とキース・ジャレットは語っている。
 これがインプロヴァイザーとしてだけでなく作曲家としても名を馳せた,ジャズ・ピアニストキース・ジャレットの“真実”であろう。

 近年,キース・ジャレットは『レイディアンス』『カーネギー・ホール・コンサート』と,即興演奏を披露できるほど体力が回復している。キース・ジャレット・トリオの最新作『マイ・フーリッシュ・ハート』が凄すぎる。
 2008年5月,キース・ジャレットが再び日本上陸する。管理人も大阪まで乗り込む予定である。

(2005年発売/VABJ-1163)

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2008年05月06日

チェット・ベイカー / チェット・ベイカー&クルー / HALEMA4


 『CHET BAKER & CREW』の3曲目は【HALEMA】(以下【ハレマ】)。


 【ハレマ】は“朗々とした”聴かせる演奏に終始している。このソフトなハーモニーが絶品のテーマにベスト・マッチ。明るい哀愁の世界を構築している。

 1分31秒からのフィル・アーソテナー・ソロが“鼻歌”ならば,2分14秒からのボビー・ティモンズピアノ・ソロは“小粋な”アドリブで見事にスイングしている。

 【ハレマ】におけるチェット・ベイカートランペットは,概ねマイク替わりの道具である。そう。チェット・ベイカーのフレーズは,もろボーカルそのまんま。絶品のユニゾン・パート以外は歌った方が早かったような…。

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

CHET BAKER : Trumpet
PHIL URSO : Tenor Sax
BOBBY TIMMONS : Piano
JIMMY BOND : Bass
PETER LITTMAN : Drums


2008年05月05日

小林 香織 / FINE / GRACE4


 『FINE』の6曲目は【GRACE】(以下【グレース】)。


 【グレース】は,小林香織の“ピュアな”感性が素直に溢れ出たバラード。健全にフュージョン・サックスだけに打ち込む,巷のアイドル以上にアイドルらしい「清く正しく美しい」私生活が“ピュアな”アルト・サックスの音色から伝わってくる!

 【グレース】は,小林香織から他界した祖母へのレクイエムであるが,悲しさよりも喜びいっぱい! 愛する祖母との楽しい思い出が喪失感を埋め,悲しみに打ち勝っていく! これぞ「希望のレクイエム」である。

 3分41秒からのアドリブは,一人浜辺で黄昏ながら祖母と交わす会話のようである。小林香織が届かぬ思いを,強がった様子を隠そうと“クール”に,でも精一杯伝えようと“もがいている”。祖母からの答えは“そよ風”のよう。優しくほほを撫で返す。

 聴き逃せないのは,1分52秒からの間奏である。祖母の“そよ風”は,実は大御所4人による演出であった。笹路正徳土方隆行岡沢章村上“ポンタ”秀一の4人が,小林香織の最高のサポーター役に徹している。
 アルト・サックスと見事に溶けあう大御所4人なら,きっと業界中の悪い虫からも保護してくれることでしょう。あっ,赤ずきんちゃんの中でのおばあさんはオオカミでしたね。もしかして? 逃げろ,かおりん!

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

KAORI KOBAYASHI : Alto Sax
MASANORI SASAJI : Keyboards
TAKAYUKI HIJIKATA : Guitar
AKIRA OKAZAWA : Bass
SHUICHI "PONTA" MURAKAMI : Drums


2008年05月03日

アート・ファーマー / おもいでの夏 / MANHA DO CARNAVAL4


 『THE SUMMER KNOWS』の2曲目は【MANHA DO CARNAVAL】(以下【カーニバルの朝〜「黒いオルフェ」】)。


 アート・ファーマーの【カーニバルの朝〜「黒いオルフェ」】は,超個性的! ボサノヴァ → ジャズへの早着替えは「モー娘。」もビックリの早技である。

 “ボッサピアノ・トリオの演奏に,37秒からアート・ファーマーフリューゲル・ホーンがフィル・インするのに合わせて,サム・ジョーンズベースがブレイク! サム・ジョーンズの猛アタックが“ゆったりめ”で入ったアート・ファーマーアドリブを徐々にヒート・アップ! このフリューゲル・ホーンは,完全なる「トランペッター」の音である。

 2分27秒から始まるシダー・ウォルトンアドリブに合わせて,今度はビリー・ヒギンズドラムがブレイク! ビリー・ヒギンズのスティックさばきが,シダー・ウォルトンの“ジャズメン魂”に火をつけた。ボサノヴァジャズを融合させた,シダー渾身のピアノ・ソロが素晴らしい。

 5分4秒からはアート・ファーマーの“カデンツァ”も飛び出し,カーニバルの幕は下りていく!

CD視聴(試聴)・購入はジャケット写真から

ART FARMER : Fluegel Horn
CEDAR WALTON : Piano
SAM JONES : Bass
BILLY HIGGINS : Drums


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